Meta『Threads』を使ってみた感想ーー“世界”が変わる予感! 踏み出した大きな一歩は「Twitterの代用」を超える意味を持つか

 先日、突如ローンチが発表されたMeta社の『Threads』。7月6日の本日から利用が可能になった。筆者も早速利用してみたので、その使い勝手や仕様を簡単にではあるがシェアしていこうと思う。

 まず、ThreadsのアカウントはイコールInstagramのアカウントだ。利用を開始するにはInstagramのアカウントが必須で、持っていなければ先にInstagramアカウントを取得する必要がある。この点は、逆にいえばInstagramをすでに利用していた人は簡単に移行できるということでもある。

 Instagramのアカウントでフォローしているユーザーを一括でフォローできる機能は、地味なように思えて「新しいSNSを始める際の取っ掛かり」として便利だと感じた。「とりあえずアカウント作ったはいいけど、誰からフォローすればいいんだ……?」という点にあまり悩まず済む。なお16歳未満(一部の国では18歳未満)のユーザーがThreadsに登録すると、デフォルトで非公開アカウントーーTwitterでいうところの“鍵垢”に設定される。

 新規スレッドについては最大で500文字まで、写真は10枚まで投稿が可能。YouTube動画やWEBページのURLは自動で埋め込まれる模様。現状で投票機能やハッシュタグ機能はなく、写真や動画、音声をその場で撮影・録音しての投稿にも非対応な模様。このあたりはアップデートでの改良に期待したいところだ。なお、自分をメンションできるユーザーや自身の投稿に返信できる範囲を指定する機能はリリース当初より実装されている。

 タイムラインについては、現状ではTwitterのおすすめ欄に近い形式で、自身がフォローしている人のスレッド(投稿)を閲覧することはできない。この点は非常に不便に感じるが、Metaは今後「フィードに表示するおすすめコンテンツの改善や、トピックやトレンドをリアルタイムでフォローできるような検索機能など、利用者が自分の興味関心に近い投稿やクリエイターを発見しやすくなる新機能を導入する予定」と説明している。また、Meta広報によればInstagramで利用可能なアクセシビリティ機能ーーたとえばAI生成による画像説明やスクリーンリーダーなどは最初からサポートされている模様。

 本日サービスが利用可能になってから、仕事の合間に(これも仕事なのだが)いろいろと触ってみたが、「まだまだ未成熟で、Twitterの完全な代用にはなり得ないが、今後には期待できる」という感想だ。

 メディア業界の末席に身を置く人間としては、トレンドやハッシュタグ、元投稿から引用リツイートを参照する機能が無いなど、ざっくりとした情報の取捨選択がおこなえず不便に感じる点も多い。とはいえ、Twitterと細かな仕様が違うこと、できないことで違和感こそあれど、むしろ「違和感のレベルで済んでいるのがすごい」と評すべきかもしれない。それから、ローンチ直後に(機能が足りないなりに)ここまでキチンと機能していること、注目が集まり大量のユーザーが流入するなかで大きな障害などが発生せずにサービスが動いていることは素直に評価したい。さすがMeta、といったところだろう。

 ブラウザ版やPCアプリのリリース、APIの提供、今後広告が表示されるのか否かなど、気になる点はいくつかあるが、まだサービスイン初日だ。今後注視していきたい。

人類が歩みだした「分散型SNS」普及への大きな一歩

 それから、忘れてはいけない重要な要素「フェディバース対応」についてもお話しておこう。前回の記事で予想したとおり、Threadsは分散型SNSへの対応を掲げたサービスだ。つまり、今後MastodonやMisskey、Wordpressなどの「ActivityPub」と互換性を持ち、それらのSNS・サービスと相互に接続することが可能になる。また、Meta広報のアナウンスによれば「Threadsの利用をやめた後、自分のコンテンツを他のサービスに移行するオプションを提供する予定」とのことで、Threadsから別のActivityPub対応SNSへの“お引っ越し”も可能になるという。

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 もし、ThreadsにMastodonやMisskeyを始めとする分散型SNSを接続、横断して閲覧できるようになれば……というのは前回の記事でも触れた通り。Threadsには巨大なユーザー基盤を抱えるInstagramから今なお現在進行系で多量のユーザーが流れ込んでいる。そうして出来上がった巨大なコミュニティと、自身の興味関心に応じたインスタンス(分散型SNSにおけるサービス単位)を閲覧できるようになれば、Twitterをもしのぐほどの規模たりうるだろう。

 そして、それは規模の大小だけに留まらない可能性を秘めている。今回のTwitterを巡る騒動を経て、筆者は「これはインターネットが肥大化しすぎた結果かもしれない」と感じた。Twitterは「交通・災害の最新情報を手っ取り早く調べられる」というのも利点のひとつ。一方で、そうやってインフラレベルにまで浸透したサービスの運営を、単一の企業が担っていたことには違和感も覚える。もちろん、公的な集団の多くはそれぞれ自らが管理・運営する発信チャネルを持つが、実態として「Twitterで調べる」ことがおおくのインターネットユーザーの間で状態化していたのも事実だ。

 そうした状況において、今回登場したThreadsはその“いびつさ”を解消する一手となるかもしれない。

 分散型SNSの特徴は、サーバー、つまりインスタンスさえ建てれば、技術を共有する他のインスタンスと接続可能なことだ。たとえば気象庁が災害情報を発信するインスタンスを建てたとして、それと接続すればサーバーあるいはユーザーはその情報を受け取れるようになる。過去にフランスやブラジルの公的機関が導入した例もあり、そうした動きが再び見られる可能性はあるだろう。

(参考:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1710/08/news030.html)

 これまでなかなか普及が進まなかった分散型SNS。今回のTwitterの騒動と、Threadsの電撃的なローンチによって、人びとは気づかぬうちに普及への一歩を歩みだしたといえる。15時ごろ、マーク・ザッカーバーグは自身のThreadsアカウントで「登録者が7時間で1000万ユーザーを超えた」と報告した。分散型SNSに置き換えれば、猛烈な勢いで巨大なインスタンスが形成されているのだ。「Twitterからの移行先」「Instagram版のTwitter」という言葉だけでは片付けられないほどに、大きな転換点を迎えた予感だ。

マーク・ザッカーバーグ公式Threadアカウントのスクリーンショット

 最後に、リアルサウンドおよびリアルサウンド テックでもThreadsを試験的に運用開始した。もしよければこちらもフォローしておいていただけると幸甚だ。

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