学芸大青春が見せた”2次元と3次元を行き来する表現”の新たな形 5thライブツアー『ダンス! ダンス!! ダンス!!!』東京公演レポート

 “メタバースと現実世界を行き来する”本格派ダンス&ボーカルグループ・学芸大青春(ガクゲイダイジュネス)が、5度目のライブツアー『ダンス! ダンス!! ダンス!!!』を開催。本稿では、今年3月から9都市を巡り全11公演を敢行した全国ツアー、その最終公演となった6月17日Zepp DiverCity(TOKYO)公演の模様をレポートする。

 ステージは上下2段に組まれ、3枚ずつの大きなモニターが設置されている。舞台を左右だけでなく、縦にも大きく使ったセットだ。冒頭、このセット全面にオープニング映像が映し出され、ライブがスタートした。

 すべてのエンターテイメントが禁じられた世界で、逃亡者となった学芸大青春の5人。赤い照明が会場を照らしサイレンが鳴り響くなか、2次元の姿の彼らが映像モニターの中を逃げ惑う。そして、黒いローブを纏った3次元の姿の彼らが映像からステージに飛び出し、舞台を駆け抜ける。ステージ上段には鎖に繋がれた5人の姿があり、その鎖を断ち切りローブを脱ぎ捨てると始まったのはこの日のオープニングナンバー「HOLD US DOWN」。ミュージカルのようなドラマチックな開幕だ。

 続いて「Hit me!」ではステージの左右を大きく使い、次々と入れ替わるボーカルとチームワークが光るダンスで観客の心をつかむ。さらに椅子を使ったダンスでアダルトな表情を見せた「Easy Peasy」、重みのあるサウンドにソウルフルなボーカルと息のあったステップで魅せた「DoDo tz Dotz」と、ツアータイトルの通りハードなダンスナンバーを立て続けに披露。高度なテクニックと表現力で場を圧倒した。

 自己紹介やコール&レスポンスで盛り上がり、会場がますます温まったタイミングで間髪入れず次のターンへ。「僕らの次元を超える自己紹介曲、ついてこいよ!」とシャウトして始まった「WHO WE ARE !」では、2次元と3次元の彼らが並び立ち、笑顔で掛け合いを見せる。2つの次元を行き来している学芸大青春だからこそ成立する演出は、唯一無二のものと言えるだろう。続く「煽句 -Trash Talk-」では、激しいサウンドにマッチしたパフォーマンスで会場のボルテージをますます上げていく。

 幕間には、2次元の彼らがフランクにトークする映像が映し出された。2次元の彼らが3次元の彼らの素顔について言及する場面もあり、5人のほのぼのとした空気に、会場からも和やかな笑いが溢れる。2次元の彼らから3次元の彼らへのメッセージが告げられると、彼らの映されていたモニターが左右に開く。3次元の5人が2次元の姿と同じ衣装で再登場し「ふたり」を披露。さらに「グッデイ・バッテイ」 「ひまわり」 と、高い歌唱力、声の個性やハーモニーを堪能できる楽曲が続く。

 「この辺でそろそろ一回ダラダラしようぜ!」と始まった「Lazy Day」では、ステージにソファが登場。ブランケットに包まる姿や、じゃれついたメンバーたちがキュートな表情を見せる。会場のファンも完璧な振り付けや掛け声で盛り上げ、5人とファンの関係性を象徴するようなあたたかい一曲であった。

 MCタイムののち、メンバーカラーのスーツに着替え次のパートへ。「雲の切れ間」「Ylang Ylang」とハンドクラップやサビの合唱など、観客と一体となれる楽曲が続き、会場の温度もますます上がっていく。

 暗転したステージ上に電子ピアノが登場。仲川蓮の弾き語りから始まったバラード「すぐいくから…」では、5人それぞれの持つ音楽的素養を最大限に活かした表現に胸を打たれる。続く「スニーカー」は、「コロナ禍にできた曲、いつかみんなと歌えたらいいな、なんて想像して作りました。今日はよかったら一緒に歌ってください」と紹介、曲中では「みんなと会えてマジで良かった!」と叫ぶシーンもあり、熱唱とジャンプでファンとメンバーが一体となる。

 オフのエピソードを披露するなど、5人の空気感があらわれたMCを挟み、ライブは終盤へ。見事なフォーメーションダンスとキレのいいボーカルで聴かせた「Hit the City!!」、顔を見合わせて笑顔で踊る「youthful days」と、ラストスパートとは思えない軽やかなダンスパフォーマンスが続く。

 「JUNES」ではそれぞれの個性や特技を見せ場として作り、5人の持つ楽しい空気感をそのまま落とし込んだようなパフォーマンスに、客席のファンも見事な一体感で応えた。

 本編ラストは「Sugar」。今の彼らが持つダンス&ボーカルのスキルをすべて詰め込んだような楽曲は、本ツアーのタイトル『ダンス! ダンス!! ダンス!!!』を象徴するように、ダンスでメンバー同士が、そしてメンバーとファンがコミュニケーションを取ることでひとつとなった珠玉の時間であった。

 アンコールに応えて、2次元の姿の5人がモニターに再登場。今回のライブの出番が少ない、と話し披露したのは「Happy Ever After」。2次元のキャラクターが激しく歌い踊る楽しさは彼らならではのもの。2番からは3次元の彼らもツアーTシャツ姿で再び登場しパフォーマンス。2次元・3次元どちらの良さも詰め込まれたステージであった。

 最後のMCでは、アンコールの掛け声を「ジュネス」に決定。アンコールを再現し、会場がますます一体となる。そして今までリーダーを決めずにきた彼らだが、これからもっと上に行こうという決意のもと、仲川がリーダーに就任したことを報告。特に変わることはなく今まで通り、ということだが、今より上のステージを目指すという宣言のようだ。

 また今回のツアーで一番嬉しかったのは「声出しが解禁になって、みんなの声が聞けたこと」と話し、ライブにおけるコミュニケーションがより密になったことを感じさせた。
「心も体も最後『ダンス! ダンス!! ダンス!!!』しようよ!」と始まったのは「アールビーワイ」。ハンドクラップに振り付け、コールと、会場全体が全力で盛り上がる。カラーボールのファンサービスもあり、音楽とダンスでひとつとなるこのツアーの集大成のようなひとときだ。

 そして本ツアーのラストナンバーは、ファイナルということで特別に披露された最新曲「ヤマアラシのジレンマ」。優しさと切なさが同居する繊細な一曲を、5人のカラフルな歌声が彩る。ボーカリストとしての学芸大青春を堪能できる一曲だ。見事な大迫力のアカペラコーラスで楽曲を締めると、客席からは大きな拍手が送られた。

 ダンス&ボーカルは、たしかなテクニックにくわえてクールな表情から情感豊かな部分まで幅広い表現力で魅せた。トークでの楽しい空気感も含め、5人のチームワークを感じさせる。舞台の奥行きや高さを活かした生身の姿ならではパフォーマンスは、ステージが狭く感じられるほどダイナミックであった。

 また映像演出には、2次元と3次元を行き来するグループならではのこだわりが感じられた。2次元の表現と3次元でしか成し得ないこと、そのどちらも学芸大青春の大きな武器だ。常に挑戦する姿勢を見せる彼らの、強さと魅力が感じられる充実のライブだった。

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