『ディアブロ4』発売初週売上が6億6,600万ドルを突破 「ディアブロ」シリーズはなぜ人を夢中にさせるのか
6月6日、『Diablo IV』(以下、『ディアブロ4』)が発売となった。
ハックアンドスラッシュの金字塔的シリーズ「ディアブロ」のナンバリング最新作として、発表時から大きな注目と期待を集めてきた同タイトル。調整不足感が否めなかった前作の発売時とくらべると、悪くない立ち上がりを見せている。
「ディアブロ」シリーズはなぜ、これほどまでに人を魅了するのか。その魅力を考える。
シリーズ11年ぶりのナンバリング最新作。4年の歳月をかけて完成した『ディアブロ4』
『ディアブロ4』は、『Hearthstone』などのタイトルで知られるアメリカのディベロッパー、ブリザード・エンターテイメントが開発・発売するRPGだ。「ディアブロ」シリーズのナンバリング4作目にあたるタイトルで、過去作品同様、ハックアンドスラッシュ(※1)の要素を盛り込みつつ、オープンワールドやMMORPG(※2)といった新たなエッセンスも取り入れている。
舞台となるのは、前作『Diablo III』(以下、『ディアブロ3』)から数十年後の世界。黒魔術によって召喚された悪魔・リリスは、人々の住む世界・サンクチュアリと地獄を支配するべく、暗躍を続けていた。プレイヤーはその陰謀を阻止するため、同じ志を持つ仲間たちと冒険の旅に出る。
『ディアブロ4』は2019年秋、ブリザード・エンターテイメントが例年開催するイベント「BlizzCon 2019」で存在が明かされた。その時点では「開発の初期段階」と発表されていたため、約4年の歳月をかけ、ようやく発売までこぎつけたことになる。対応プラットフォームは、PlayStation 5、PlayStation 4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC(Windows)。価格は、スタンダードエディションが9,800円(税込)、デジタルデラックスエディションが12,600円(税込)、アルティメットエディションが14,000円(税込)となっている。
※1:hack(叩き切る)、slash(切り込む)という2つの英語からなるRPGのサブジャンル。本来は敵を次々と倒していくことを主目的とした作品群を指す言葉だったが、転じて、ランダムに入手できるアイテムの収集要素を盛り込んだジャンルのことも指すケースが増えてきている。
※2:Massively Multiplayer Online Role-Playing Gameの頭文字をとった略語。多くのプレイヤーがゲームサーバーに同時参加する仕組みを持ったオンラインRPGの総称。
前作の反省を生かした出来に。評価が確定するのはアップデート後か
先述のとおり、『ディアブロ4』には前作からさまざまな変更がくわえられている。オープンワールド化・MMORPG化のほかにも、シナリオのテイストや、スキル・育成システムなど、多くの箇所に調整がほどこされている。
実は前作『ディアブロ3』は発売当初、アクセス集中によるログインエラーや、理不尽な難易度設定、低いアイテムドロップ率などから、少なくないプレイヤーに“駄作”と認定されていた。その後、幾度ものアップデートを経て、「期待された『ディアブロ』シリーズのナンバリング最新作」として恥じない出来に仕上げられてきた背景がある。
今回の『ディアブロ4』にくわえられた変更は、いわば前作の反省を踏まえたうえでの正統進化と呼べるものだ。もちろんそこには、各プレイヤーごとの好き・嫌いも存在するだろう。しかしながら、少なくとも前作に比べれば、リリース当初の段階で面白く遊べる出来となっているのは間違いない。
シナリオはシリーズファンが求めていた重厚で残虐なファンタジーに。スキル・育成システムは伝統とプレイヤーに評価されてきたものを軸に据えつつも、最新作としての新しさを感じられるものに。また、オープンワールド化・MMORPG化はトレンドを意識した明確な進化点でもある。
2023年3月18日以降、段階的に実施されてきたオープンβテストでは、『ディアブロ3』での失敗が生かされず、ログインエラーが頻発。数時間のログイン待ちが発生していたが、正式リリースのタイミングではこの問題もほぼ解消された。今後は前作同様、アップデートによってブラッシュアップされ、いま以上のゲーム体験をプレイヤーに与えられるタイトルとなっていくはずだ。購入後も長く遊び続けられるシリーズだけに、いちファンとしては、発売と同程度には今後の展開が楽しみでもある。賛否はあれど、ひとつの完成形と呼ぶにふさわしいナンバリング作品となっていくのではないだろうか。