あの人のゲームヒストリー 第二六回:吉田早希
「ゲームやサブカルは“学びの種”」――カルチベートされた人間を目指すグラビアアイドル・吉田早希のルーツを探る
日本で初めて『Oculus Rift』の開発者キットを手に入れた日本人女性・吉田早希
――ゲーム好き、サブカル好きだからこそ体験した思い出深いエピソードは?
吉田:じつは、VRヘッドセット『Oculus Rift』のデベロッパーキット(発者向けのキット)である、『Oculus Rift DK1』を日本女性で初めて手に入れたのが私なんですよ。
以前から、ナムコ・ワンダーエッグ(※4)のような近未来を感じるテーマパーク空間が家にあればなあと、思っていたのですが(笑)……そんななか『Oculus Rift DK1』がリリースされて、「これはイメージ的にも近未来っぽくてナムコ・ワンダーエッグを感じるぞ!」と、すぐに買ったんです。
(※4)ナムコ・ワンダーエッグ……当時のナムコ(現・バンダイナムコエンターテインメント)が、東京・二子玉川で運営していたテーマパーク。2000年12月31日に閉園。
買ったはいいのですが、開発者向けの機器なので『Oculus Rift DK1』に繋ぐパソコンが必要だったんですよ。けれど、当時の私はハイスペックのパソコンなんて持っていなくて(笑)。
そこで、G-Tune(※5)さんに『Oculus Rift DK1』が動くパソコンを協賛していただき、さらに私の水着グラビアが楽しめるVRコンテンツも一緒に作らせていただいたんです。
(※5)G-Tune……マウスコンピューターが取り扱うゲーミングPCブランド。
そのVRコンテンツを、「Oculus VR」の創業者のひとりであるパルマー・ラッキーさんにお送りしたら、「なんて日本はクールなんだ! 次世代型の『Oculus Rift DK2』は日本へ優先的に出荷させるね!」とおっしゃってくださったんです。
実際にパルマー・ラッキーさんは、日本で開催された開発者セミナー「Unite Japan 2014」で来日された際、『Oculus Rift DK2』の日本への優先出荷を公言されていて……。
“歴史を変えた”というと大げさですが、「少しはVR業界の盛り上がりに関与できたのかな?」「楽しませて頂いているOculusに少しは恩返しができたのかな?」と、嬉しくなった思い出深いエピソードでした。
それともうひとつ。とある雑誌のグラビア企画で、「私の休日」というテーマの撮影があったんですね。
そもそも先方さんがイメージしていたのは、「ニンテンドースイッチを持って遊んでいるような、ちょっとラグジュアリーな感じ」というテーマだったんです。
もちろん、ニンテンドースイッチでもいいのですが「もう少し、面白くしたいな」と思って、友だちに「ATARI LYNX」(※6)を借りて、それをグラビア撮影の小物として使用させていただいたんです。
(※6)ATARI LYNX……アタリコープ社が1989年に発売した携帯用ゲーム機。「ゲームボーイ」と同じ年に発売された携帯型ゲーム機ながら、カラー液晶画面にバックライトを搭載していた。
「ATARI LYNX」が写り込んでいる写真が使われるかどうかは、実際に雑誌がリリースされるまでわからなかったのですが、発売された雑誌には、きちんと「ATARI LYNX」も映り込んでいて!
たぶん私が、日本(世界?)で初めて、“商業誌のグラビアにATARI LYNXを使ったグラドル”になるのでは! ……と勝手に思っています(笑)。
やっぱり私、「日本初」や「世界初」という枕詞が好きみたいです(笑)!
――最後に。ご自身にとってゲームとはどのような存在ですか?
吉田:そうですねえ……私にとってゲーム(やサブカル)は、“学びの種”ですかね。
ゲームをプレイして、そこから学ぶこともたくさんありますが、もっと広くは、ゲーム雑誌などでクリエイターさんのインタビューを読むのも好きなんです。そのようなゲームを作っている方々のお話から、刺激を受けたり、何かを教わることも非常に多いです。
誰かの言葉や考え方が、“自分の畑を耕す肥料”になるんですよね。
太宰治の『正義と微笑』という作品のなかに、すごい好きな一節があるんです。
「日常の生活に直接役に立たないような勉強こそ、将来、君たちの人格を完成させるのだ。~(中略)~ 学問なんて、覚えると同時に忘れてしまってもいいものなんだ。けれども、全部忘れてしまっても、その勉強の訓練の底に一つかみの砂金が残っているものだ。~(中略)~ その学問を、生活に無理に直接に役立てようとあせってはいかん。ゆったりと、真にカルチベートされた人間になれ!」
というフレーズなのですが……カルチベート(cultivate)とは“耕す、ほぐす”という英単語ですけど、“(才能などを)磨く、高める”といった意味合いもあるそうです。
まさに、「これこれ、この一節!」って共感しまくりなんですけど、私がこれまでに学んだゲームやサブカルなどの知識が肥料となって、“真にカルチベートされた人間”になれればいいな、と日々感じています!
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