4月9日よりフジテレビ系にてTVアニメ『「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編』の放送がスタートした。

　本作は、大正時代の人喰い鬼が住む世界を舞台に、鬼に家族を皆殺しにされ、唯一生き残った妹の禰豆子を鬼にされた少年・竈門炭治郎が、鬼を討伐する部隊＜鬼殺隊＞の一員として活躍する姿を描いた吾峠呼世晴の人気コミックをアニメ化したもの。

　2019年4月に『「鬼滅の刃」竈門炭治郎 立志編』が放送されるやいなや、人気を集め、2020年10月に公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は日本の興行収入記録を塗り替え社会現象にもなった。さらに2021年12月からは『「鬼滅の刃」遊郭編』が放送され、その最終話から続く『「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編』が放送開始となったのである。

　前作で仇敵・鬼舞辻無惨の配下にいる上弦の鬼の妓夫太郎・堕姫兄妹を倒した炭治郎。その戦いで刀を刃こぼれさせてしまった炭治郎は刀鍛冶の鋼鐵塚蛍に謝罪し、新たな刀を打ってもらうために刀鍛冶たちが集まる里を訪れるところから今回の物語は始まる。

『「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編』を観る

　前半パートの見どころといえば、“第二回パワハラ会議”としてSNSでも話題となった無惨の本拠地・無限城でのエピソードだろう。妓夫太郎と堕姫が倒されたことで百年ぶりに無限城に集められた上弦の鬼たち。いわば最強のヴィラン集団である彼らに声を当てるのは、上から黒死牟役の置鮎龍太郎、童磨役の宮野真守、猗窩座役の石田彰、半天狗役の古川登志夫、玉壺役の鳥海浩輔とこれ以上なく豪華な声優陣だ。彼らの名演により、自分が探し求める“青い彼岸花”を誰も見つけられていない上に、上弦が欠けたことでお怒りの無惨に鬼たちが十人十色の反応を見せるシーンはかなり見応えのあるものになっていた。

　そこから半天狗と玉壺が鬼殺隊を弱体化させるため、彼らの武器である刀が生まれる刀鍛冶の里に襲いかかる。そこで見どころとなってくるのが、炭治郎と同期の不死川玄弥、そして二人の柱、甘露寺蜜璃と時透無一郎の共闘だ。柱の中で最も友好的な性格である甘露寺は、上弦の鬼との戦いで生き残った炭治郎を褒め、鬼である禰豆子もまるで妹のように可愛がるなどとにかく優しい。今後戦いがさらにし烈を極めていく中で彼女の心の温かさがこの物語の癒しになっていくことは間違いないだろう。

　そんな甘露寺とは対照的に、他人への関心がかなり希薄なのが時透だ。最年少で柱になった天才剣士である彼は合理的な考えのもとで生きており、悪気なく人を傷つけることがある。また、玄弥も時透とはまた違ったタイプの一匹狼。最終選別で案内役の童子に暴力を振るい、止めに入った炭治郎に腕を折られたことを未だに根に持っている。他者と協力して何かを成し遂げる経験がなさそうな彼らと、炭治郎がいかに鬼たちから里を守るのか……が気になるところだ。