写真から自宅を特定する動画で注意喚起 様々な事象を理詰めでエンタメに昇華するチャンネル「ラムダ技術部」の魅力
理系科目に苦手意識を持つ人は多い。数学の話になると途端に拒否反応を示す人もいるし、「サインコサインなんて学んでも無駄」といった話題をよく耳にする。ところが、私たちの生活は理系の知識で支えられていることが多い。むしろ、理系の知識なくして現在の便利な世の中は成り立たないのだ。それを面白く教えてくれるのが、YouTubeチャンネルの「ラムダ技術部」だ。
理系の知識がエンターテインメントになる
チャンネル登録者58万人(2023年4月3日時点)を誇る「ラムダ技術部」は、高専出身の男性が理系の世界の魅力を淡々と、ときに鋭い言葉を交えながら解説してくれるチャンネルだ。動画のトピックは、私たちの生活に密接な関係を持っていたり、純粋に知的好奇心をくすぐってくれたりするものばかり。身近な技術や疑問が解き明かされていく過程で、理数の面白さが理解できるようになっている。
たとえば、「【自動でお会計】くら寿司で不正ができないのはなぜか?」と題した動画では、くら寿司の特許に目を通した上で、入店からお会計までのすべてをわかる範囲で誰でも理解できるような言葉で説明する。くら寿司の魅力をネタの鮮度や味で伝えようとする人は数多いるが、どんな技術を使っているから低価格を実現できているのかを特許レベルで説明する人はどれくらいいるのだろうか。
AIが苦手な人には、ChatGPTが苦手とする計算問題をどう訓練するかをデモンストレーションした動画を見て欲しい。HHKBという知る人ぞ知る高級キーボードの会社の案件動画なのだが、AIの未熟さと成長の速さが同時に知れるだけでなく、HHKBの中でも最も使う難易度が高く、タイピングをマスターしたものにしか使いこなせないと認識されているキーボードの無刻印モデルを二刀流する様子が見られる。筆者もHHKBユーザーだからわかるが、これは正気の沙汰ではないと思った。
淡々とした喋りとトークも魅力
「ラムダ技術部」は、技術系に限らず、自分の考えや経験を共有する動画も出している。淡々とした語り口と、斜に構えた姿勢、キレのある言葉選びとさりげない煽りは静かな笑いを誘う。もちろん、笑いに終始しているのではなく、ちゃんと理系マインドも学べるから視聴後の満足度が高い。