『今日好き 卒業編』5話ーー掟破りの最終日前日に告白!?一途を貫いたみるきが一足先に旅を終える

『今日好き 卒業編2023』5話

りょうか、えだはるからの“手繋ぎ”を制した大人な理由は?

 「あっちの方に行っちゃおう、バレないから」。4話で訪れた水族館にて、気になるりょうか(折田涼夏)とふたりきりになろうと画策するえだはる(大枝晴大)。その背後には、彼のことを一途に想うみるき(雨宮未苺)が、寂しそうな表情でその背中を追いかけようとし、静かに意気消沈していた。あまりにもタイミングがよすぎたが、みるきの恋は、きっと今回も幸せなエンディングを迎えられないのだろう。そう確信する上で、この光景は十分すぎるほどだった。

 そんなえだはるとみるきだが、気になる人へのアプローチの仕方が対極的かと言われればそうでもない。この後の2ショットで、お互いの共通点が滲み出る部分が。2日目はほとんどりょうかと会話をできなかったえだはる。やっとの想いで一緒になったグループ行動に「死ぬほど願っていた」と喜びを露わにし、りょうかの「うれしい」という一言に「たぶんオレの方が全然うれしい」と幸せの倍返し。離れ離れの時間を過ごすことで、逆に自身のなかに芽生えた恋心に気づくという『今日好き』鉄板の流れではあるが、今回はその想いを抑えられなかったのだろう。おもむろにりょうかの腕の方に手を伸ばし、掴みかけようとする。

 が、「待って!」と制したのがりょうか。「手を繋いだ方がリードできるとかみんな言うけど、全然言葉の方がうれしいし、言葉の方が伝わる」と、真に想いを伝える方法は“手繋ぎ”ではないとえだはるを諭す。「言葉の方が(相手を)リードできると思うよ」「だから誰とも繋がない」と、“えだはるだから”ではなく、あくまでも強い意志があるようだ。たしかに、ここまで自身の想いを積極的に言葉にのせてきたえだはるだからこそ、今回のアプローチは少し言葉の意味が異なるが期待はずれ。“そんなはずではなかった”という気持ちが、りょうかの少し残念そうな表情から読み取れてしまった。

えだはる&みるき、恋愛スタンスに共通点?

 このシーンから感じたことが2点。1点目は、りょうかが自身の想いをはっきりと示せる強い心を持ったメンバーだということ。この後、お互いに両想いながら、その本心を探り出せないままのくにはる(國本陽斗)との2ショットで、りょうかは「えだはるヤバいわ」「もう……言っていいのかな」と、えだはるとの2ショットでの胸キュントークを打ち明けようとする。それに対して「言ってくれた方がオレもやりやすい」と、その流れに乗るくにはる。だが、りょうかの方が一枚上手で「言われなくてもやんないとダメ!」「あなたはわかんない、りょうかのことを気になっているのかどうか」と、いまだ動かざること山の如しなくにはるを一喝する。

 現状、いさ(北本要世)との関係性に燻るきさき(寺島季咲)のように、自身の想いを言葉にできないメンバーもいるはず。全員が自己主張をできないのは、『今日好き』以外でも、例えば我々の普段の学校生活や会社での時間にも当てはまるだろう。全員が全員、人として強くある必要はない。だが、そうした強い存在は少なからず必要であり、今回はそれが自身の考えをしっかりと持っているりょうかでよかったということ。

 ボディタッチで伝えるべき言葉を伝えずに、なし崩し的にその場をなぁなぁにごまかし、カップル成立へと持っていくやり方は、相手に対して紳士でも真摯でもない。ダサいことはしない。りょうかがえだはるのみならず、その先の視聴者の襟も正すような学びあるワンシーンだった。

 2点目は、ここでのえだはるの手繋ぎが、初日のみるきのそれと重なったこと。彼女もまた、えだはるの想いを確認せず、少し強い言い方にはなるが、自分の気持ちを押し付ける形で彼の手を握っていた。このあたり、えだはる&みるきと、りょうかとの間での対照的な恋愛スタンスが表れていたように思う。『今日好き』初回登場時こそ、りょうかは人生初彼氏を探しにきていたわけで、“恋愛マスター”のような経験はないかもしれないが、こうした恋愛の本質を見抜いていたあたり、あの頃から比べてかなり大人になったのかもしれない。

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