YouTubeで学園ドラマ風コントが人気に 急上昇連続ランクインの理由は「意外性のある伏線と演技力」に?

 2月4週目、エンタメ系動画クリエイター・アイルトンモカの学園ドラマ風コント動画が2本、YouTubeの急上昇に連続ランクイン。アイルトンモカと学園ドラマ風コントがYouTubeで人気を集めている理由を考察してみたい。

 アイルトンモカは、中学校の同級生6人によって結成された動画クリエイターグループ。2020年9月にTikTokの登録者数50万人を突破したタイミングでYouTubeチャンネルを開設すると、エンタメ系動画を投稿してきた。2021年6月には、ひとりの不良が隠キャ学生になりすまし、平凡な高校生活を送ろうと奮闘するという学園ドラマ風コント動画の投稿を開始。徐々に登録者数を伸ばしている。

 今回急上昇入りしたのは、学園ドラマ風コントの記念すべき200話「【200話記念】本当は不良なのに陰キャになりすます高校生の日常【コントVol.200】」と201話の「【過去が明らかに】本当は不良なのに陰キャになりすます高校生の日常【コントVol.201】【200話記念】」。この2本では、伝説の不良・ブラックエンペラーであることを隠しながら学校生活を送る花山を捕えるストーリーと、元いじめられっ子で高校デビューを果たした松本の過去にフォーカスしたストーリーが展開されている。

【過去が明らかに】本当は不良なのに陰キャになりすます高校生の日常【コントVol.201】【200話記念】

 200話は、ブラックエンペラーを探し出すことをグループのトップに命じられた不良4人が、花山と松本のクラスに転校してくるところからスタート。1週間ブラックエンペラーの候補として4人に監視され、窮地に立たされているように見えた松本は、実は幹部たちの“犬”であり、自身を慕う2人の友人を裏切ってしまう。松本に裏切られた友人ふたりは、どちらかがブラックエンペラーだと疑惑をもたれていたため、転校生たちにボコボコにされてしまうのだ。

 そんな部下たちの喧嘩を尻目に、ブラックエンペラーが花山であると踏んだトップは、教室にいた花山を外に連れ出すことに成功。201話では、学校のトップと自称する松本が、不良グループのメンバーたちから中学時代にイジメられていたというまさかの過去が明かされ、不良として高校デビューするに至った経緯が語られている。

 アイルトンモカのコント動画は1話完結ではなく、コラボ動画を除けば1話目からストーリーが繋がっているドラマ仕立ての動画だ。脚本はYouTubeのものとは思えないほどクオリティが高く、カメラワークと編集もよく考えられている。動画は長いもので1本20分ほどだが、1本の動画の中には複数のキャラクターの特徴や思惑がしっかりと描かれており、見応え十分。視聴者から定評のあるメンバーたちの演技力も相まって圧倒的な没入感があり、見入ってしまう視聴者が多いようだ。

 YouTubeでは、コンビYouTuber・あめんぼぷらすのチャンネルで投稿されているとある大学野球部のルーティン動画も大人気で、たびたび急上昇にランクインしている。単行本漫画が発売されるなどYouTubeの枠を超えて支持されているが、あめんぼぷらすやアイルトンモカのような学校生活をテーマにしたコントはなぜYouTubeで人気を集めているのか。

 YouTubeで人気のコンテンツといえば、トークやドッキリ、Vlog、ゲーム実況などがあるが、なかでも大型企画や人気YouTuber同士のコラボ、発表・報告、癒される動画に注目が集まることが多い。学園ドラマ風のコントはというと、準備や撮影、編集にも時間がかかることは想像に難くなく、そのような背景もあってか、そもそもコンテンツ量が圧倒的に少ないのが現状だ。

 しかしながら昔から漫画やドラマ、映画で親しまれてきた学園ものには、友情や人間関係、“あるある”なできごとなど、何かしら視聴者が共感できる点が含まれていることが多い。とくにアイルトンモカが作るような、不良たちが主役のストーリーには友情が絶対に外せない要素となるため、誰もが熱い何かを感じられる「THE 青春」コンテンツとなる。

 YouTubeの学園ドラマ風コントは、期待を裏切らない学園ものの王道ストーリーに、意外性をもたらす伏線や工夫を凝らした編集、ほかのYouTuberたちにはない演技力が合わさったとき、爆発的な人気をもつコンテンツになるのかもしれない。

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