「お待たせ、待った?」でお馴染み にじさんじの雑談女王・アンジュ・カトリーナの“衝動”は止まらない
背伸びをしようと頑張ってもどこかカッコのつかない、ありのままで等身大な女性像。アンジュに対してそんなイメージを持つファンは多いだろう。そんなイメージが定着し広まっているのはなぜだろうか。
彼女が得意とする配信といえば「雑談配信」だ。配信タイトルに「雑談」といれたアーカイブ動画は、2023年2月12日段階で167件あり、月に2回以上、平均して3~5回の雑談配信を行なっている。決して多いというわけではないが、その内容はつねに傑出したものがある。
リスナーから募集したトークネタに沿ってみたり、自分で設定した「縛り」で話しをしてみたりと、彼女の雑談配信をみれば「ここまで面白くしゃべれるのか」と思わされるであろう。
普段の生活をつぶさに覚えている記憶力、記憶していた取るに足らないであろう話題でも「これってさぁ……」と自身の感性へと繋ぎ合わせてしまえる発想力、自分の内に秘めた感覚をうまく言葉にする言語能力もあり、しかもウィットに富んだボケ・ツッコミも混ぜ合わせて話していく上に、数時間にわたって止めどなくトークしつづける体力もある。
ちなみに少し話は遡るが、にじさんじの面接時には動画オーディションもあったようで、「アンジュのおかげで彼女が出来ました!」というYouTubeによくある怪しい感じの動画をオマージュしたものだったという。これもまた、ある種の”あるある”ネタをしっかりとコンテンツに昇華させるという、アンジュらしいエピソードだ。
日常会話はいうに及ばず、アニメやマンガからネットカルチャーやアダルトコンテンツまで幅広いサブカルネタに詳しいアンジュ。リスナーをイジり、逆にイジられる温かい関係性もあるので、マナーをしっかり守ってコメントすれば「いやさぁ!その〇〇〇っていうけどさぁ!?」と気軽に拾ってもらえることもかなり多い。
2~3時間に渡ってノンストップかつ、テンポ良くトークしつづけた後、「今日はもう寝るわ~!ありがとうね!」と配信終了のエンドロールを流し始めたにも関わらず、「あ!!そういえばさぁ!!?」とエンドロールが流れたままふたたびリスナーに話し始めることもしょっちゅうである。
にじさんじの男性タレントでいえばジョー・力一、夢追翔、葛葉などさまざまなタイプのしゃべり上手がいるが、雑談上手な女性タレントとして、月ノ美兎とアンジュのふたりを思い浮かべるファンは多いはずだ。
しかし、リスナーの多く経験したことないあろう突飛な体験エピソードで注目を集めたり、あらかじめ決めた内容を理路整然と話そうと努めたりする月ノ美兎の雑談スタイルに比べ、アンジュの雑談スタイルは「その場で唐突に溢れ出てくるアイディアと衝動」が核となっているのが伝わっている。
話す内容は起承転結がしっかりとしており、ワードチョイスが特にぎこちないというわけではないのだが、「人と会話がしたい!」「自分の感情を分かってほしい!」という衝動が溢れ出ており、時にアンジュ本人すらも歯止めが効かず、情緒が暴走してしまう……そんなレベルなのだ。
そんなアンジュの衝動をよりダイレクトに伝えてくれるのが、彼女が普段使っている3Dビジュアルのボディである。にじさんじでは自宅から3Dビジュアルで配信できるように制作された「にじ3D」というシステムがあり、3Dお披露目配信を終えた各タレントに届けられる。
デビューして約1年後となる2020年2月10日に3Dお披露目配信を終え、3月10日に初めてにじ3Dを使用した雑談を配信すると、その後の雑談配信では毎回3Dボディを使用して雑談配信を続けている。
配信では主に上半身のみを映し出しているわけだが、目・口などの顔の動きで表情がしっかりと読み解けるうえに、「この時さぁ!」などとテンション高くなると腕・上半身がグイグイ動くのが特徴的だ。テンションが上がってウキウキしているのがよく分かる。
会話するときに身振り手振りが大きい人は「感情表現が豊かで気持ちを正確に伝えたい人」と言われることもある。彼女のつよい情動や体の動きを、3Dビジュアル・ボディが正確に描写することで、彼女の人柄がダイレクトに伝わり、見ているリスナーを一切飽きさせることがないという点も、彼女の雑談配信が人気な理由の一つだろう。
会話力の高さ・豊かな情動・3Dボディとの高い適応性、これらすべてを踏まえているアンジュ・カトリーナを「にじさんじの雑談女王」だと評するファンも多いのだ。