カズレーザーとぺこぱ・松陰寺のYouTubeは“観る沼” 政治家からラブホテルの話題まで忖度のないトークを展開
「いまもっとも入眠に適しているYouTubeチャンネルは?」と尋ねられて真っ先に思い浮かぶのが、メイプル超合金のカズレーザーとぺこぱの松陰寺太勇が運営する「カズレーザーと松陰寺のチルるーム」だ。
その名の通り「チル」をコンセプトにし、あらゆるテーマに対し2人が自由にユルく、時に熱くトークを繰り広げていく番組で、毎週月曜日と木曜日の週2回更新されている。昨年の10月に始まって以来、登録者数は早くも2万人を突破し、その注目度はジワジワと高まってきている。
チルるームの一番の魅力はなんといっても、カズレーザーと松陰寺太勇の近くもなく遠すぎない絶妙な「関係性」だ。所属事務所も同じサンミュージックで年齢も芸歴もほぼ一緒の2人だが、普段それほど共演経験がなく、共通する話題が先輩芸人のTAIGAくらいだという2人の「お互いずっと気にはなってるけど気軽に話しかけられない」というまるで少女漫画の主人公とヒロインのような距離感が面白い。そんな2人が、少しずつ距離を縮めながらラジオでもテレビでも聴くことのできない、いっさい忖度のない100パーセント本音の「ここでしか聴けない話」を繰り広げていく。その内容は「2人の関係性」「結婚観」「子ども」「バイト経験」「最近ラブホテルに行った?」など互いのプライベートなものから「M-1グランプリ2022の感想」「相方について」といったお笑い芸人ならではの話、さらには「地球の誕生、種の権化」「占い」「マスクについて思うこと」といった議論を呼びそうな話題など本当に幅広い。
どのトークを聴いていても改めて思うのは、カズレーザーも松陰寺太勇も本当に頭の回転が速い芸人だということだ。台本のないトークは“自然”そのものなのだが、ただダラダラと喋るのではなく、片方が挙げた「1」の話題に対して「1」で返すのではなく、必ず「2」にも「3」にも増やして相手に受け渡す。どんどん話題が予想外の方向に広がっていき、大きなケミストリーを起こしていく。
たとえば「今の政治家」というトークテーマでは、「そもそも優秀な人材が政治家を目指さなくなっていってる」という重めの話題をしていたかと思いきや「石破茂はなぜ議論が強いのか」→「お金を使うことは悪かどうか」→「カズレーザーは車の免許を持っていない」→「カズレーザーという芸名の由来」と話題がシフトしていくのだが、その流れがあまりにも自然で感動してしまった。まず、カズレーザーも松陰寺太勇も政治に対するしっかりとした教養があって、その上で自分の芯を持っているからこそ違和感なく聴ける。バラエティだけでなく、情報番組にも精力的に出演している2人だからこそ、自分の中にしっかりとした芯があり、どんな話題でも笑えて、タメになるようなトークになっている。そしてカズレーザーの理論的なトークと、松陰寺太勇の包容力のあるトークの相性の良さによって淀みなく展開されていきどんどん画面に引き込まれ興奮状態になっていく。しかし、2人の心地良い声のトーンとテンポによって気づけば観ているこっちの心がリラックスし、いつの間にか眠気が襲ってくる。「覚醒」と「催眠」が繰り返される恐ろしいチャンネルだ。
また、2人の意外な一面を見ることができるのも「チルるーム」の大きな特徴で、「人を傷つけない笑い」として知られる松陰寺太勇の「占い」や「オシャレ」などに対する意外な毒舌や、プレゼントを買うことが最近とても楽しくなってきた人間味のあるカズレーザーなど、テレビで観る姿とはまったく違った魅力を味わうことができ、更新されるたびにどんどん2人のことを好きになっていく。
何気なく観ていたはずなのに気がつけば全身が浸かっているまさに「観る沼」。なかなか寝付けない夜にぜひ観てもらいたいチャンネルだ。