メガネ感覚の新型VRゴーグル『VIVE XR Elite』 メタバース原住民が「かけて」みたらVR睡眠に最高だった

超軽量「メガネモード」に変形してみた

 「メガネモード」への変形を実際に試させてもらった。まずは、右側の柄の外側に伸びているUSB-Cのハブを外す。

メガネモードへの変形 - 『VIVE XR Elite』

 続いて、左右の柄を外して後頭部のバッテリーユニットを分離する。柄の内側のストッパーを指で軽く押し込むと簡単に取り外すことができた。

メガネモードへの変形 - 『VIVE XR Elite』

 最後にメガネモード用の柄を取り付けて完成。かなりしっかりしていて、初めてでも短時間でガジェット感覚で楽しくガチャガチャ変形させることができた。ハードの剛健さは、さすがHTCと言ったところだ。

メガネモードへの変形 - 『VIVE XR Elite』

 実は前方の本体部分にも小型のバッテリーが内蔵されており、「ホットスワップ」と言って、プレイを継続したまま同じ要領で後部バッテリーユニットを別のものに交換することが可能だ。つまり、電池を交互に充電しながらスタンドアロンで無限にVRが楽しめてしまうのだ。フル充電で最大2時間稼働することと併せて、長時間利用するヘビーユーザーには非常に嬉しいポイントだ。

 メガネモードを被った状態はこちら。モデルはHTC NIPPON猪原(いはら)氏にお願いした。メガネモードでは、もはや「ゴーグルを被る」というより「メガネをかける」という表現がふさわしい。従来のVRゴーグルでは考えられないような軽量感が写真からも伝わるだろう。

メガネモードを「かけた」HTC NIPPON猪原氏 - 『VIVE XR Elite』

 ちなみに、試してみたところ、メガネモードでも頭頂ストラップを付けることができた。

メガネモードに頭頂ストラップ - 『VIVE XR Elite』

レンズ回り・クッションは外して洗える

 レンズ回りはこのようになっていて、クッション部分を取り外して洗えるようになっているので衛生的だ。このあたりも普段遣いするユーザーへの配慮が感じられて好印象だ。

レンズ回り - 『VIVE XR Elite』
クッションを外した状態 - 『VIVE XR Elite』

眼鏡ナシで利用できる焦点調整機能

 左右のレンズ上部についているのが焦点調節のダイヤルで、「0」から「6」まで無段階で左右独立に焦点距離を細かく調整することができる。これにより、視力にもよるが眼鏡ナシでの利用が可能になる。参考までに、普段2.75の度のコンタクトレンズを使っている猪原氏は「6」のMAXの状態でコンタクトなしで問題なく利用できているとのこと。この機能はVIVE Flowに搭載されていたものの発展版らしい。逆に本体と目の間の隙間が狭いので、眼鏡との併用は難しそうだ。本体の焦点調整で足りない人向けに、専用の追加レンズなどがいずれサードパーティから発売されるかもしれない。

レンズ回りの構造 - 『VIVE XR Elite』

 本体下部右側に見えるのは瞳孔間距離(IPD)調整用のレバーだ。レンズの右脇にはUSB-Cの端子があり、おそらくここにオプションで将来発売される予定だというアイトラや顔トラ用のパーツを追加接続できるのだろう。

オプションでアイトラ・顔トラに対応

 「アイトラ(=アイ・トラッキング)」や「顔トラ(フェイシャル・トラッキング)」というのは、眼の動きや顔・口の動きをリアルタイムにアバターに反映して、表現力や没入感を劇的に高める技術だ。VIVEシリーズでは、筆者が普段使っている「VIVE Pro Eye」がアイトラを標準搭載しており、オプションの「VIVEフェイシャルトラッカー」で顔トラも導入可能だ。

はじめての顔トラ❤VIVEフェイシャルトラッカー最速レビュー

〈出典:「アバターの顔と完全連動!!! 顔トラのススメ

歪みのない高精細パススルー体験

 実際に被って各種ゲームやVRChatを試させてもらったが、全く問題なくプレイできた。解像度は同じく4KのQuest 2などと同程度の印象だ。視野角(FOV)は最大110°でQuest 2より広く、筆者が普段使っているVIVE Pro Eyeとほぼ同じ感覚だった。

 重さは、約770gある筆者のVIVE Pro Eyeと比べて約1/3の273g。フルのVR体験ができるにも関わらず頭が羽根のように軽いのはとても不思議な感覚だ。

パススルー映像。正面で両手を広げているのはHTC NIPPON政田氏 - 『VIVE XR Elite』

 フルカラーパススルー機能は、被ったまま周囲の映像を目で見ているのと同じようにカラーで見ることができる。単眼なので立体映像ではないのだが、高精細でかなり綺麗だと感じた。かぶったままキーボードの操作をしたり歩くことができ、いちいち脱ぐ必要が全く無くなるため長時間ゴーグルを被って日常生活を送るヘビーユーザーには嬉しい機能だ。

 経験的にパススルーは映像の表示位置に現実とのズレがあると違和感が出やすいのだが、歪みがほとんど感じられない自然な映像だったのが印象的だった。性能の限界を探るため、敢えて視界のぎりぎり端の方までコントローラーを持っていっても視界に表示される位置と実際の位置がずれることがなく、違和感のないシースルーとMR体験のためにかなり細かいチューニングが施されているのを感じた。

現実をアップデートするMR(複合現実)機能

 MR(Mixed Reality、複合現実)とは物理現実と仮想現実(VR)を融合した体験を生み出す技術のことだ。MR性能を試すためにペイントソフトで空間にサインを書いてみたが、現実世界に魔法のペンが実装されたような感覚だった。

パススルー映像。MR空間に描かれた筆者のサイン - 『VIVE XR Elite』

 無線接続は「Wi-Fi 6」で接続を試させてもらったところ、遅延を全く感じることなくVRChatなどをプレイできた。さらに新規格の「Wi-Fi 6E」にもアップデートで対応予定とのこと。USB-Cで有線接続した場合は電源もUSBから取れるが、18Wの電源が必要とのことだった。

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