ゼンハイザー、世界で支持されるオープン型有線ヘッドホンの最新モデル『HD 660 S2』を発表 スマホではなくアンプで本領を発揮

ゼンハイザー『HD 660 S2』発売

 ゼンハイザーは2月8日、同社のハイエンドヘッドホン『HD600』シリーズの最新モデル『HD 660 S2』を発表した。2月21日発売で、店頭想定価格は9万6800円(税込)。

 HD 660 S2は、2017年に発売されたHD660 Sの後継モデル。HD 600、HD 650、HD 660 Sに続くHD 600シリーズの4代目となる製品で、ゼンハイザーは「伝説の第4章」だとしている。

 世界中で最も有名で、最も支持されているヘッドホンの1つだというHD 660 Sは、音質面でも高い評価を受けており、ユーザーからはもう少し低域が欲しいというフィードバックもあったとのこと。HD 660 S2は、その部分を改良した後継機種という位置付けになっている。なお、HD 660 Sは併売せず、販売を終了する予定とのことだ。

 HD 660 SとHD 660 S2の周波数帯域を比較すると、白い線のHD 660 S2は低域が強化されているのがわかる。20~200Hz間の音圧が向上しており、20Hz帯では音圧レベルが2倍まで引き上がっている。また、5000Hz以上の高域でも凹凸が目立たなくスムーズになっており、長時間のリスニングでも聴き疲れしにくいサウンドになっているとのことだ。

 これらの特性変更を実現しているのは、トランスデューサ、そして振動板だ。自社開発の高性能42mmトランスデューサを採用しており、さまざまな試行錯誤を繰り返すことで最適化を行い、潤沢な低域と繊細な高域の両立を実現した。なお、HD 660 S2のトランデューサには、ゼンハイザーの通常のヘッドホンよりも10倍のコストがかかっているという。

 もう一つの振動板だが、こちらには振動版にラミネート加工を行ったDuo-Folテクノロジー振動板を採用した。ラミネートの厚みを調整することで、振動板の柔軟性を上げているという。音楽の再生では低域ほどエネルギーが活発で、高域になるほど緩やかになっていく。また、HD 660 S2のような開放型ヘッドホンの場合、減衰と低域のシグナルが強いため振動板をより多く動かす必要があり、振動板の柔軟性が重要になってくるとのことだ。

 ボイスコイルにも改良が加えられた。HD 660 Sもアルミのボイスコイルを使用していたが、HD 660 S2ではさらに細いアルミ線を使用。巻き数を増やすことでマグネットパフォーマンスも向上し、インパルスレスポンスがクリアになったとしている。インパルスレスポンスとは、ざっくりというと手を叩いたときなどに発生する「パーン!」という短い残響のこと。これがクリアになることで、切れのある低域が感じられるようになる。

 全体的にHD 660 Sの強化版と言えるHD 660 S2だが、インピーダンスが150Ωから、HD 600やHD 650と同じ300Ωに変更となった。このため、スマートフォンなどでは音が鳴りにくくなったことは否定しないとしている。ただ、コイルの巻き数が上がっていることもあり、数値程の差は感じられないだろうとのことだ。とはいえ、HD 660 S2のパフォーマンスをフルに発揮するにはアンプの使用がお勧めのようだ。

 ゼンハイザーの主要ヘッドホンの音の傾向を比較したのが下記の図だ、これを見ると、HD 660 S2は高い解像感を備えながら、低域が強化されているのがわかるだろう。チューニングに関しては、低域が強くなったというところで、より暖かみのあるサウンドになっている。

 このクラスのヘッドホンを購入する人は、それなりにオーディオに拘りがある層だと思うが、HD 660 Sと同様にそうした人を満足させ、あらたな伝説と幕開けとなるのか、今後の評価に注目したいところだ。

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