広告収入が10分の1になったYouTuberは、果たして「オワコン」なのか? アナリストに聞く“市場の現状と専業YouTuberの未来”

 人気YouTubeのラファエルは2022年12月に「広告収益は10分の1に落ちてます。ほとんどのYouTuberがそうだと思います」と発言しており、YouTubeのチャンネル登録者数209万人を誇るぷろたんも「収益が5分の1になった」と報告。YouTuberが以前のように“稼げていない”状況であることが立て続けに明るみになっている。

 YouTuberが稼げなくなってきている状況は本当なのか。『日本一詳しいWeb集客術「デジタル・マーケティング超入門」』(ぱる出版)の著者で、提案型ウェブアナリストの森和吉氏に話を聞いた。

結局はコンテンツ力の高い動画が優遇される

――なぜ大幅な方向転換を決めた人気チャンネルが増えているのですか?

森:コンテンツ発信に対する疲労感、以前のように数字が伸びないことに辟易していることが挙げられます。なにより、YouTubeはアルゴリズムによって視聴者の目に留まるかどうかが大きく影響します。しかし、そのアルゴリズムの仕組みは公表されておらず、自分自身でコントロールすることは不可能。苦戦を強いられ、限界を感じる人も多いのかもしれません。

ーーアルゴリズムの仕組みはどのように変化しているのですか?

森:詳細は公開されていないためわかりませんが、Google検索を例とすると、以前までは検索上位に表示されていたページが、急に下になるということがあります。これはアルゴリズムが変わったことによる影響です。それが繰り返され、信頼性の低いページの検索順位が下がった結果、これまで盛り上がっていたアフィリエイト産業は下火になりました。YouTubeにも同じことが言えるようになってきているのかもしれません。

――アルゴリズムを検証するための具体策を教えてください。

森:いつもと違うような動画の作り方をする、アナリティクスを見て視聴回数や総再生時間といった数値の変動を追う、上がっていれば変化させた部分をより変えてみる、もし下がっていれば戻してみる、ということの繰り返しです。とにかく地味な作業になります。

――アルゴリズムに振り回されることだけでなく、芸人やタレントのYouTube進出が、YouTuberの伸び悩みに影響した、という仮説についてはどうでしょうか。

森:その影響は少ないと思います。芸能人だからと言って、再生数が伸びたり登録者数が多かったりするわけではありません。一方、個人が趣味の範囲で投稿している動画が伸びるケースも珍しくないですね。

――魅力的な動画であれば見てもらえると。

森:そうですね。YouTubeを見ると、テレビ番組でやっている企画を模した動画もあります。ただ、それではキャラクターがよほど浸透していていないと、見られなくなりました。クオリティも大切ですが、コンテンツ力がより一層重要視されるようになった印象です。

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