85歳の後期高齢者VTuber・ひろこと孫が語る動画制作の裏側 「ウルトラマンより活動時間が短い」
メタばあちゃんはウルトラマンより活動時間が短い
――参考にしたVTuberを教えてください。
下西:「特にこの人を参考にした」ということはなく、いろいろなVTuberの2~3年前の動画を参考にしています。というのも、最近のVTuberはライブ配信がメインです。ただ、ひろこは3分以上しゃべると口がパサついて活舌が悪くなったり、ずっとゴーグルをつけていると酔ったりなど、ライブ配信は不向きです。そういった制約があるため、古き良きVTuberからいろいろと吸収しました。
――たしかに動画自体も短いものが多いですね。
ひろこ:2~3分以上の動画は難しいです。ファンの方から「ウルトラマンより活動時間が短い」と言われています(笑)。
――コラボしたいVTuberはいますか?
下西:今回大きな反響をいただいた要因として、にじさんじの剣持刀也さんから動画に対していいねをいただき、相互フォローになれたことがあると考えています。そのため、いつかご一緒できたら嬉しいです。
――剣持さんとやりたい企画はありますか?
ひろこ:正直思いつきません。(笑)ゆっくりお話しできれば良いなと思います。
みんなのおばあちゃんになったことに嫉妬を覚えたバカ孫
――現在は短い動画が多いですが、今後やりたい企画など教えてください。
下西: VTuberといえば“歌ってみた”が人気ですが、ひろこは歌を歌うことに照れてしまうため難しいです。また、ゲーム実況に関しても「ホラーゲームを実況してほしい」という要望を結構いただきます。ただ、孫として心臓に負担となることはしてほしくないので、刺激的な企画も考えていません(笑)。
――VTuberらしい企画は難しそうですね。
ひろこ:私だから求められていることに挑戦したいです。最近は若い方から恋愛や仕事に関する相談が寄せられ、この前も14歳の男子中学生から恋の悩みが寄せられました。その時は「シャキッとせい」とアドバイスといって良いのかわからないことを伝えましたが(笑)。
――若者をターゲットにしているのですか?
下西:若い方からの「ひろこに悩みを聞いてほしい」というコメントが多く、人生相談のニーズを感じており、このまま “みんなのおばあちゃん”になってもらえると嬉しいです。ただ、ひろこは僕のおばあちゃんなので、孫としては嫉妬心も少なからずあります(笑)。
ひろこ:可愛い孫でしょ?
――コロナ禍で親戚に会えていない若い人のニーズも多そうですね。
下西:多いと思います。私としてはひろこを通して、「おじいちゃんおばあちゃんに会いに行こうかな」「親戚付き合いは面倒だけど、ちょっと積極的になろうかな」みたいに思ってほしいですね。また、ひろこの動画を見たことで、高齢者を身近に感じてもらい、困っている高齢者を街中で見かけた際には優しく声をかける、みたいな行動につながれば嬉しいです。
本田圭佑から認知されているメタばあちゃん
――今回の反響については驚きはありましたか?
ひろこ:私はスマホを持っていないため、反響の大きさはわかりません。(笑)それでも、好意的に捉えている人が多いため、「やって良かった」「少しでも社会が良くすることに貢献できた」と満足しています。
――印象に残っている反応はありましたか?
下西:サッカー選手の本田圭佑さんからリプライをもらったのですが、それは家族全員驚きました。注目されるキッカケにもなったのでありがたかったです。
夢は高齢者VTuberたちで武道館ライブ
――新メンバーのオーディションは順調ですか?
下西:ありがたいことにいま現在50人ほどの方から応募してもらい、すでに何人か面接しました。75年も生きているため、面白いトークの量が多くて驚いています。トーク力に加えて、歌や楽器演奏といったエンタメに関する一芸があるとなお良いですね。
――どういう人が応募しているのですか?
下西:やはりお孫さんが「うちのおばあちゃんは面白いんですよ」という感じで、おばあちゃんと一緒にお孫さんが面接に参加するケースが多いですね。面接はほのぼのした雰囲気で楽しいです。
――独力で応募した人はいましたか?
下西:数人います(笑)。ネットリテラシーが高くて素晴らしいですね。
――メンバー加入後にやってみたい企画はありますか?
下西:ひろこは嫌がっていますが、オリジナルソングを歌って、そのMVも作成したいです。夢物語ではありますが、高齢者のVTuberが武道館でライブしたら絶対面白いと思います。夢は大きく掲げたいです(笑)。ただ、しばらくは「数人でトークする」という可能な範囲の企画をやりながら、模索していけたらと考えています。
――複数人なら『さんまのからくりTV』(TBS系)の「ご長寿早押しクイズ」のような企画も面白いかもしれませんね。
下西:私もその番組は大好きです。ただ、そういう企画はあまり考えていません。メタばあちゃんでは、「高齢者だから」「ボケ出しているから」などを売りにするのではなく、ひろこであればひろこの、新メンバーであれば新メンバーの魅力で楽しんでもらうコンテンツを考えています。
――ひろこさんは今後やりたいことはありますか?
ひろこ:……いまのままでいいんじゃない?(笑)
下西:基本的にはひろこがやりたくないことはやらないので、いろいろ提案してみて、まずひろこが楽しめる動画を作っていきたいです。
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