あの人のゲームヒストリー 第二二回:有野晋哉

よゐこ・有野晋哉が明かす”ゲームとの向き合い方” 「徹子さんになって良さを引き出す」

――2003年11月には、クリエイター取材や有野さんが様々なゲームに挑戦する番組『ゲームセンターCX』がスタートしました。番組の開始前後で、ご自身の”ゲームに対する姿勢”は変化しましたか?

有野:ゲームに対する姿勢はね、よく聞かれるからどんな風に思われているのか逆に聞きたいけど、当時はやってもないソフトもあったけど、やり始めたらクリアまでやるっていうのは変わってないんちゃうかな。自分の内面は全然変わってないです。でも、プライベートのゲーム離れが1回ありました。2006年で子どもが産まれて、子育ての合間にニンテンドーDSを遊ぶ感じ。パッと起動して、パタンとたたんで置いておける。なのに、開けたまま寝落ちして、電池切れてセーブできてなくて、また1からとかあったな。そんなのがあって、番組でしかゲームを遊ばない時期もあったと思います。でも結局は遊びたいから、Wiiを買って『Wii Fit』をやってました。周辺機器のボードに乗って、ずっとスキーのゲームばっか遊んでましたね。「これ面白い!」って言いながら(笑)。

――Wiiは家庭用ゲーム機のなかでもプレイスタイルが特殊ですよね。

有野:そうですね。コントローラーが手持ちじゃなくて、ダンスダンスレボリューションとか、ファミリートレーナーみたいにその方向を踏むんじゃなくて、踏んでるボードの体重の重心移動で操作っていうのが面白い。なので、我が家では子供を抱えてやる有野家オリジナルのハードモードで遊んでた。あとはラジオの企画で『ドラゴンクエストVIII』を出演メンバー全員で遊んだぐらいかな。仕事にかこつけたらゲームできるって、番組のコーナーでみんなで始めたんですけど、どんどん共演者が進捗を言わなくなって、僕は最後の一人になるまでプレイし続けました。ゲーム離れはあったけど、「こんなゲームを遊んだ」っていう思い出を作っておきたくて遊んでた気がします。

――ゲーム離れから復帰したあとも、ソフト選びの着眼点は変わらなかったのでしょうか。

有野:いまはメジャーな作品で遊ぶ方が多いです。でも、自分の遊びやすさで言えば、インディーゲームにふれる機会が増えたかな。ちゃんとクリアまで遊べるボリューム感がちょうど良いんですよね。任天堂公式チャンネルでやったのを、帰って買う感じ。スタッフが、よゐこが好きそうなタイトルをしっかり割り振ってくれるんです。「これ面白いですね」と言ったら「でしょ?」みたいな(笑)。最近プレイしたのだと、『トゥーディーとトップディー』がパズルゲーム+アクションゲームの協力プレイで面白かったです。あとは遊ぶだけじゃなく、ゲームを作ったクリエイターの情報を聞くのも楽しいですね。「イスラエルで作られたん?」って驚かされる。

――出演番組ではシングルプレイやオフラインでの協力プレイが多い印象を受けますが、オンラインゲームの経験についてはいかがでしょうか。

有野:『ドラゴンクエストⅩ』で仕事関係の人にレベル上げとか連れて行ってもらったぐらいで、ほかはあまりないと思います。それよりは横に並んで一緒に遊ぶ方が多いし、自分的にも楽しいです。2004年くらいかな、「ファミ通WaveDVD」の企画でアメリカザリガニ(お笑いコンビ)と一緒に『モンスターハンター』を遊んで、僕はずっと討伐せずに肉を焼いたりとか(笑)。あとは同じ雑誌のメンバー11人でXbox 360のサッカーゲームもプレイしました。その時はBOSEさん(スチャダラパー)もいて、ゴールするたびにみんなで叫んだ気がします。楽しかったですよ。オンラインやけど、みんなその場に居るていうのが好きかもしれへんです。もう部屋に1人でやるのは嫌になってるかも(笑)。

ゲーム作品の良さを引き出す「徹子の部屋」スタイル

――有野さんは『ゲームセンターCX』にて、実に20年にわたって数々のゲームに挑戦されています。プレイ時にツッコミを入れたり、トークを交えながら遊ぶ様子は各所で”ゲーム実況の元祖”と評価されていますが、ご自身はどのような心構えで番組収録にのぞまれていますか?

有野:あの場所は『徹子の部屋』だと思ってプレイしています。僕が黒柳徹子さんで、挑戦するゲームソフトが本日のゲスト。マリオさんも来るし、ロックマンも、暴れん坊天狗も。「そんなゲストの良いところを全部引き出せたらいいな」と思ってます。実際にクリエイターとお話すると、「有野さんは意図したトラップにちゃんと引っかかってくれる」と言ってもらえます。視聴者からも「よくぞそこ引っかかってくれた」って思われてて。わざと引っかかってるんじゃないんですけどね(笑)。

――”ゲームの良さを引き出す”という姿勢は当初から変わっていないのでしょうか。

有野:最初は漠然とクリアだけを狙ってましたね。最初のころは攻略本もかなり見てた。でも、時期は曖昧ですけどゲームの良さが映れば良いと思って遊んできました。とは言いつつ、番組を手伝ってくれるADの子たちからは「なんで危なくなるとジャンプしちゃうんですか」という風に言われますね(笑)。自分でもわからへんけど、この癖はもう取れない。

――『ゲームセンターCX』は”有野さんのゲームクリア”という目的のもと、スタッフ陣も含めて特殊な空気に包み込まれているように見受けられます。

有野:番組公式YouTubeチャンネルで見れますけど、『スーパーマリオワールド』に挑戦したころから雰囲気が変わってきたかもしれませんね。スタッフがみんなで「くぐれ!」って連呼していて、タレントにスタッフが命令口調で言うって普通はない事なんですね。当時もそこで笑っちゃって、「なんで命令するの?」って聞いたら「”くぐってください”だと文字が多いじゃないですか」という(笑)。ほなしゃあないと僕も受け入れて。今では一番若いスタッフに「なんでジャンプしちゃうのかなぁ」ですよ(笑)。それから番組もだんだんと環境が整ってきて20年目に突入したし、僕自身もゲームにもスタッフにも寛容になったと思います。同じステージを3時間やってもへっちゃら、スタッフは早くしてくれって思うやろうけど。

目指すは”部長” 2023年もゲームと仲良くしたい

――最後に、2023年の目標について教えてください。

有野:”昇進して部長になりたい”です。スタッフからは「まだ言ってるんですか」「もう課長でいいじゃないですか」って言われるんですけど。海外の方からも「カチョウ!」と声をかけてくれるし、課長がもう共通語になってる状態です。でも、出世欲はあります。「島耕作」はあんなに出世してるし、もうそろそろ重役になりたいかな。

■有野晋哉 YouTubeチャンネル

・【公式】ゲームセンターCX 20th チャンネル 
https://www.youtube.com/@gccx20th

・有野晋哉 本人
https://www.youtube.com/@arinohonnninndayon

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