オーディオライターが選ぶ2022年ベストバイ「完全ワイヤレスイヤホン」とは?

2022年ベストバイ「完全ワイヤレスイヤホン」

 音楽を聴くためのガジェットとして定番化した完全ワイヤレスイヤホン。2022年は音楽リスニング時に周囲の騒音を低減するノイズキャンセリングや、ハイレゾやロスレス音声の伝送が可能な高音質コーデックなど、音楽リスニングの体験を追求する進化のみならず、テレワークの普及も相まって、装着したまま周囲の音も聞こえる”ながら聴き”のリスニングスタイルも拡大し、求められる機能の多様化の進んだ一年だった。

 そんな2022年に登場した完全ワイヤレスイヤホンのなかでもとくに優れていたものはどの製品だったのか。専門家の視点から選出したベストバイ完全ワイヤレスイヤホン5つをお届けしよう。

Apple 『AirPods Pro(第2世代)』

 2022年を代表する完全ワイヤレスイヤホンは、業界トップシェアの『AirPods Pro(第2世代)』の存在抜きに語ることはできないだろう。第1世代のAirPods Proと同じカナル型の外見を継承しつつも、ノイズキャンセリングは前世代モデルと比べて最大2倍に強化。次に紹介する『BOSE QC EarbudsⅡ』がほぼ同時期に登場したこともあり、その性能比較でも注目を集めた。それだけでなく自然な聴こえ方を追求した外音取り込み、カメラを使ってパーソナライズ可能な「空間オーディオ」とApple独自機能も強化。イヤホン単体で最大6時間(空間オーディオとヘッドトラッキングを有効にした場合は最大5.5時間)、ケース併用で最大30時間とバッテリー性能もパワーアップしている。2022年にはApple製品全般の国内販売価格の値上げが行われ『AirPods Pro(第2世代)』も直販価格39,800円(税込)と高価格の製品となったが、それでも最定番イヤホンは今年もAppleだ。

Bose 『QuietComfort Earbuds II』

 2022年のノイズキャンセル最高性能と語られる完全ワイヤレスイヤホンがBoseの『QuietComfort EarbudsⅡ』だ。ノイズキャンリング技術を世界で初めて世に送り出したBoseは、新たに装着時にパーソナライズする“Bose CustomTuneテクノロジー”の新搭載などにより、「他のどのイヤホンやヘッドホンよりも優れたノイズキャンセリング機能を実現」していると宣言。実際に騒音低減の効果をテストしてみても、ソフトな装着感で違和感を押さえながら、人の声にも良く効く優秀なノイズキャンセリングが確認できた。カスタマイズ機能として、ノイズキャンリングと外音取り込みのバランスを10段階で調整できる機能も優秀だ。Boseらしい重低音重視のサウンドも相変わらずで、通勤・通学の電車で音楽を聴くシチュエーションにはぴったりの完全ワイヤレスイヤホンだ。

ソニー 『Linkbuds S』

 日本を代表するオーディオブランドであるソニーは、2022年に”ながら聴き”を目指したLinkBudsシリーズが注目を集めた。穴あき型の完全ワイヤレスイヤホンで世間をあっと言わせたソニー『LinkBuds』(WF-L900)が最注目機種だったが、ベストバイには続いて登場したソニー『LinkBuds S』(WF-LS900N)を挙げたい。ソニー『LinkBuds S』は一般的なカナル型完全ワイヤレスイヤホンだが、イヤホン本体を約4.8gまで小型化して、外音取り込みによる“ながら聴き”とノイズキャンセリングの二刀流を実現。LDACコーデックによるハイレゾにも対応する高音質、機能性、コンセプト、価格という高次元のバランスが選出の決め手だ。

SOUNDPEATS 『Air3 Deluxe HS』

 Amazonを中心に製品を販売し、コスパ重視の完全ワイヤレスイヤホン市場を席巻しつつあるブランドがSOUNDPEATS。最新のSOUNDPEATS『Air3 Deluxe HS』は通常価格7,180円という価格で、ハイレゾワイヤレスの技術であるLDACコーデックに対応。インナーイヤー型の耳を密閉しない形状で装着していてラクな機種でありながら、パワフルな重低音に自然で伸びやかなサウンドも高評価。イヤホンのみで5時間再生、小型の充電ケースで20時間再生という携帯性重視の作り込み、ゲームモード対応と、格安でも徹底的に作り込んだ低価格機のベストバイだ。

Oladance 『ウェアラブルステレオ』

 “ながら聴き”デバイスで個人的に2022年最大の注目作がOladance『ウェアラブルステレオ』。Makuakeによるクラウドファンディングを経て一般販売をスタートさせた本製品は、イヤホンではなく耳を挟み込むように装着する完全ワイヤレス型のイヤースピーカーと呼ぶべき製品。耳を完全に塞がないので音楽と同時に周囲の音も聞こえるし、意外と音漏れも少ないという所がユニーク。超大型16.5mmドライバー搭載により低音も響き、耳の周りで臨場感あるサウンドが広がる音楽体験も優秀。連続最大16時間再生が可能だ(充電ケースはオプション)。耳をふさがない“ながら聴き”と言うと骨伝導イヤホンを想像するケースが多いが、音質も重視した“ながら聴き”としては本機をベストバイに推薦したい。

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