Yossyとスイニャンが振り返る“2022年のeスポーツ”【前編】 「コロナ禍で進んだ観戦体験と失われたオフライン文化」
ストリーマーも寝る間を惜しんで夢中になった『League of Legends』
――ストリーマーによるカスタムマッチやオンラインイベントの実施など、2022年は『LoL』に対する注目度が高まった1年だったと考えられます。この流行についてはいかがでしょうか。
スイニャン:私の周りでも、ストリーマーさん経由で『VALORANT』を知ってそのまま競技シーンにハマる人がたくさんいました。この盛り上がりを『LoL』が流行った時にも思ったんです。私もその流行があったからリアルサウンドテックで記事を書いたし、ストリーマーさんを通して『LoL』を知った方々にも競技シーンを知ってもらえればと思っています。海外では「eスポーツと言えばこれ!」と言えるタイトルがあり、『LoL』はそのど真ん中に存在する。だけど日本では海外ほど知られていない。なのでまず知ってもらうことが大事だし、ストリーマーさんがたくさんプレイしてくれると、「〇〇さんが遊んでいるあのゲームね」といった親しみやすいイメージが生まれるかもしれません。少しづつ世界基準へ近づくという意味でも、その広がり方はすごく良いのかなって。
「腫れ物カスタム」に見る『LoL』ブーム到来とeスポーツ観戦のすすめ
このところ、有名ゲーム配信者たちが夜な夜な『League of Legends(以下LoL)』をプレイしているらしい――。そんな…
Yossy:いまはストリーマーさんが遊ぶか遊ばないかで人気の度合いが全く違う時代になっていると思います。k4senさんが主催している「The k4sen」もありますし、2022年だけでもすでに複数回行われている。環境面で考えると『LoL』に追い風が吹いていますよね。
スイニャン:ストリーマーさんも楽しいからこそ繰り返し遊んでいる気がします。それにストリーマー側だけでなく、LJL関係者も結局は『LoL』が好きだから関わっていると思う。初心者が分かりやすいようにキャスター陣が神視点の実況解説をやったり、LJLのデザイナーさんがオブジェクトやバンピックの説明素材を作ったり、見やすい試合を作るために公式のスイッチャーさんが入ってくれたこともありました。
手に汗握る攻防に観客も大熱狂 FPSの競技シーンに多大な影響を与えた『Counter-Strike』
――FPSタイトル『Counter-Strike』は、『VALORANT』や昨今のFPSタイトルに多大な影響を与えた作品として知られています。同作品を追いかけているYossyさんの印象はいかがでしょうか。
Yossy:『Counter-Strike』も20年以上が経ちましたが、eスポーツで盛り上がったから見ていたわけではなくて、「面白いゲームがある」と遊び始めたのがきっかけでした。そしたら海外には上手い選手がいるし、競技大会も盛んに開かれた。だけど日本では人気がそこまでないと言うか、そもそも運営組織がないし、ゲーム内に日本語訳も存在しない。だけど好きな人はずっとプレイしているし、みんなが想っているタイトルなんですよね。今は『VALORANT』で活躍しているLaz選手も、元はAbsoluteというチームで世界と戦っていましたし、それ以外にも人生をかけて戦った人々がいる。その系譜が『VALORANT』にも受け継がれていると思うんです。
スイニャン:私たちが初めて顔を合わせたのも『Counter-Strike』の大会だったよね。韓国から帰国したばかりだった当時の私は、日本にも『StarCraft』で味わったようなオフラインの現場はないかと探していて。あのころ日本でeスポーツと言えば、もう『Counter-Strike』だったんですよ。それで大会を調べたら、ちょうど五反田で世界大会の日本予選が開かれていたんです。それで実際に会場へ行くと、選手たちの周りに観客がいるものの、みんな地べたに座って応援している。観客と言うよりかは選手の友達といった感じで、私は大きなカルチャーショックを受けたわけです。でもYossyさんと会えたし、eスポーツ関係者と知り合うこともできたから、良かったこともありました。それに選手たちも人気が出るかもしれないし、そのうち海外と同じような人気を見せるかもしれないと考えていたから、ちょっとずつ覚えてみようという感覚はすごいあった。それこそ、Yossyさんの記事を読みながら「日本にはこういう選手がいるのか」って。Absoluteの面々も含め、やっぱり才能のある子たちはその後、表舞台へ出ていきましたね。
116 decibels for OT 🔊🔊🔊#IEM pic.twitter.com/LmdvfoeA8R
— ESL Counter-Strike (@ESLCS) November 13, 2022
Yossy:『Counter-Strike』はなにが魅力かと言うと、僕は“選手も観客も一番熱狂している”部分だと感じています。選手が真剣にプレイする姿はもちろん、観客も本当に声を張り上げて応援しているんですね。少し前にブラジルで開催された『Counter-Strike: Global Offensive』のメジャー大会では、観客の熱狂ぶりが凄まじく、試合中に観客席だけがワイプで映し出されていたんです。すごい光景だし、eスポーツが好きな人にはぜひ見ていただきたいです。
(後編へ続く)
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