『Weekly Virtual News』(2022年12月5日号)

『mocopi』の衝撃と冬のVket開催。7年目のVTuber業界と、2年目のメタバースブームに思いを馳せる師走の入口

 いよいよ2022年も師走に突入した。各所で慌ただしさが目立つ中、黎明期から活動してきた男性バーチャルシンガーの七瀬タクや、過激なファンからの扱いに怒りを表明していた「にじさんじ」のアクシア・クローネなど、活動に一区切りをつけるVTuberも何人か現れた。

【祝】チャンネル開設6周年!みんなへありがとうのメッセージ!

 一方で、気鋭の事務所「Neo-Porte」では二期生デビューが告知され、「RIOT MUSIC」運営のSuperYellow株式会社では新たなバーチャルアイドルプロジェクトが発足された。そして、12月1日にはスリープ中のキズナアイが、チャンネル開設6周年を記念して動画を公開した。6年目の節目を迎え、VTuber業界もまた一巡した、という心境にさせられる。

モバイルモーションキャプチャー:可能性、無限大。ちいさくて、かるい、モバイルモーションキャプチャー mocopi(モコピ)【ソニー公式】

 そんななか、VTuberにも、VRメタバースにも”革命”となり得るものが現れた。あのソニーが手掛ける、モバイルモーションキャプチャー『mocopi』だ。

 『mocopi』は重さわずか8gのセンサーを頭部、両腕、両足、腰に装着し、スマートフォンと接続するだけで、全身の動きを取得し記録することができる。動きはアバターにも反映することが可能。これまで重めのトラッキングデバイスとPC、あるいは専用スタジオが必要だった「アバターに全身の動きを反映させたい」という要望に応える、これ以上となく軽量かつ手軽なソリューションだ。

モバイルモーションキャプチャー:mocopi(モコピ)の詳しい使い方【ソニー公式】

 さらに、小型なので衣服の下に隠して装着でき、スマートフォンがあれば動くので屋外でも使える点は、既存のこの手のデバイスにはなかった大きな特徴だ。3Dモデルを持つVTuberの収録の幅を広げ、ソーシャルVRユーザーにも軽量さが好まれるかもしれない。価格も税込で49,500円と比較的手頃だ。誰もがアバターを動かす時代へと進める大きなピースが、2022年の終わりに現れたと言えるだろう。

 その『mocopi』と連動する形で、『バーチャルマーケット』を手がける株式会社HIKKYは「unlink」という新ソリューションを発表した。同社が手掛けるメタバースエンジン「Vket Cloud」に、外部デバイス連携を追加するソリューションであり、第一弾対応として『mocopi』との連携が発表されたのである。

 「Vket Cloud」は、Webブラウザで動作するメタバースを構築できるが、その手軽さゆえにアバターの表現力はまだまだなところがある。ここにフルボディトラッキングを持ち込むことで、「手軽な環境で高いアバター表現力」を作り出すこともできるだろう。屋外でも使える『mocopi』の特性も合わせて、より幅広いメタバース運用を生み出すカギとなるかもしれない「unlink」に、今後注目していきたいところだ。

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