株式会社HIKKYが目指すのは「リアルとバーチャルの融合」 『バーチャルマーケット2022 Winter』記者会見レポート

 11月29日、都内にて『バーチャルマーケット2022 Winter(以下、Vket2022 Winter)』を主催する株式会社HIKKYの発表記者会見が行われた。本記者会見では世界最大規模のVRイベントである『Vket2022 Winter』の開催概要のほか、株式会社HIKKYが目指す「リアルとバーチャルの融合」のためのソニー株式会社との新たな取り組みが発表された。

 会見の最初、株式会社HIKKY代表取締役・舟越靖氏が登壇すると、同氏から「メタバースの未来」について展望が語られた。同氏はガートナー・ジャパンが発表した2022年の日本における「ハイプ・サイクル」を引用し、「メタバース」という言葉への期待値の高まりがピークを迎えているとした。一方で「ハイプ・サイクル」における次のフェーズ、「幻滅期」を迎えて人々のメタバースへの関心が薄れていくという予想については「本当?」と疑問を投げかけた。

 舟越氏は「メタバースは様々な要素が混在するもので、『インターネット』という言葉に近い」とした上で、「クリエイターがコンテンツを生み出し、そのノウハウを惜しげもなくシェアしてきた」と歴史を振り返ると、「そういったものがメタバースの本質に近く、その意味でいうところのメタバースについては、人気が落ちることはないだろう」と持論を展開した。

『Vket2022 Winter』出展企業によるトークセッション

 その後12月3日〜12月18日まで開催される『Vket2022 Winter』の紹介映像を挟み、出展する企業からJR東海、ヤマハ、三菱UFJモルガン・スタンレー、ビームス、大丸松坂屋の代表者が登壇、舟越氏も交えてトークセッションが行われた。登壇者は下記の通り。

東海旅客鉄道株式会社 執行役員事業推進本部副本部長・川田啓貴氏
ヤマハ株式会社 ブランド戦略本部マーケティング統括部部長・浦川美穂氏
三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社 取締役常務執行役員CSO・堀川賢治氏
株式会社大丸松坂屋百貨店 常務執行役員経営戦略本部長兼リスク管理担当・西阪義晴氏
株式会社ビームスクリエイティブ ビジネスプロデュース部 ビジネスプロデュース3課課長・木村淳氏
株式会社HIKKY代表取締役・舟越靖氏

 今回初出展となるJR東海、ヤマハ、三菱UFJモルガン・スタンレーの代表者は、出展を決めた理由について以下のように話した。

川田氏:新幹線や駅といった、多くの方に馴染みのある資産・施設を持っており、リアルの資産をバーチャルで再現、融合させることで新たな体験価値やサービスを提供できるのではないか、そうしたことを模索するために出展を決めました。

浦川氏:バーチャル空間を通すことで、若いお客様や日本国外のお客様など、より幅広い層のお客様との出会いに期待して出展を決めました。

堀川氏:もともと当社はインターネットやメタバースといった領域で遅れを取っていました。これを反省して4月から取り組みを進めています。これから金融の世界はどんどんデジタル化が進んでいくと考えており、特にメタバースを通じて一気に取引が広がるのではないか、と期待しています。

 続いて、ともに5度目の出展となる大丸松坂屋、ビームスの代表者にこれまで出展をしたことで得られている結果が質問された。

西阪氏:回を増すごとにブース、バーチャル店舗への来場者数が飛躍的に増えています。初めて出展を決めたのは2020年4月ごろなのですが、ちょうどコロナ禍が始まった時期でした。経営課題として「時間と場所の制約を克服する」というものがあり、新たなチャネルとしてだけでなく仮想空間だからこそ提供できるチャネルとしての手応えを実感しています。

木村氏:最初はeコマースの延長線として参入したのですが、実際に中に入ってみるとECサイトとは異なる「コミュニケーション」や「感動体験」を得られるということがわかりました。現在は実際に50名のスタッフに接客をしてもらっていて、それを通じてリアルの店舗に足を運んでいただくことも増えています。

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