不治の病と闘う人々を描いた物語に、レアリティに関わらず活躍できるバトルシステム 中国発のスマホゲーム『アークナイツ』の魅力を解説

『アークナイツ』の魅力を解説

 2019年に中国でリリースされたスマホ向けアプリ、『アークナイツ』。本作は2020年に日本を含めた世界各国でもサービスを開始し、2021年2月時点ではグローバル版のダウンロード数が1000万を記録するなど、成功を収めている。また2022年10月からはアニメの放送も始まり、それをきっかけににゲーム版を始めた人もいるだろう。

 そこで本稿ではゲーム版『アークナイツ』の魅力を、ストーリーや世界観、バトルシステムにやり込み向けのコンテンツなどにフォーカスし、解説していく。

不治の病の根絶、感染者への差別をなくすための闘いを描くストーリー

 本作の舞台となるのは、「テラ」と呼ばれる広大な世界。原因不明の天災によって出現した「源石(オリジニウム)」は文明を飛躍的に進歩させたが、その一方で、「源石病(オリパシー)」という重大な病の源でもあった。プレイヤーは「ドクター」として、製薬会社「ロドス・アイランド」(以下、ロドス)に加入。同社が進めるオリパシーの治療法研究だけでなく、感染者が各地で起こした問題を解決する専門部隊の指揮官として、さまざまな戦いに身を投じることになる。

 オリパシーは体内で源石が増殖していく病気で、テラの世界では不治の病とされている。作中の会話を読む限りでは、ロドスの技術でも進行を遅らせるのが限界らしい。くわえて、病状が進行するとやがて患者は絶命し、その遺体は全身が源石を含む粉塵となった後に崩壊。オリジニウムをばらまく新たな感染源になる。そうした背景もあって、人々の多くは感染者を激しく嫌悪しているのが現状だ。

 このような感染者への差別、またそこから起きる対立や内紛が軸になっており、メインストーリーは全体的に重苦しい。序章やエピソード1~8では、感染者のみで構成された武装組織「レユニオン・ムーブメント」(以下、レユニオン)と、それに立ち向かうロドスが描かれており、感染者のために闘うという目的は同じでありながら、手段として武力闘争に突き進むレユニオンと、救済を選んだロドスの対比には物悲しいものがある。描かれている話の多くは救いこそないが、敵味方の信念がしっかり描かれているのも見どころだろう。

 ところどころに張られた伏線も、プレイヤーをストーリーに引き込む原動力となっている。本編で描かれているドクター(プレイヤー)は記憶を失っているが、昔からロドスの指揮官だったのは間違いない。では、以前はどのような人物だったのか。またドクターを信頼しているアーミヤという女の子は何者なのか、医療部門のトップであるケルシーはいつの時代から生きているのかなど、謎はとても多い。筆者もプレイヤーのひとりとして本作を遊んでいるが、ストーリーの展開はとくに気になるところだ。

低レアリティのキャラクターでも活躍できるバトルシステム

 本作のバトルシステムには、タワーディフェンスが採用されている。タワーディフェンスとは、キャラクターやアイテムといったさまざまな要素を活用し、刻一刻と自陣に侵入してくる敵を迎え撃つジャンルを指す。

 『アークナイツ』には豊富なステージが用意されているが、決められた場所にある自陣を守り抜くという点は一貫している。自然回復する「コスト」を使って「オペレーター」(キャラクターのこと)たちをマップに配置し、自陣の耐久値がゼロになる前に敵を倒しきればクリア。シンプルではあるが、オペレーターには性能ごとに前衛、後衛、支援などの役割が与えられており、プレイヤーは彼らの性能を最大限に発揮しての攻略を求められる。リアルタイムで進む状況を判断しながら采配するので、ゲームの難易度はそれなりに高いが、作戦がハマまったときの達成感は強い。

 オペレーターには星1から6までのレアリティがあり、ほかのソーシャルゲームと同じく、基本的にレアリティが高いほど性能も高い。攻撃力や防御力はもちろん、持っているスキルも強力で、星5や6が数人いるだけでもステージを格段に攻略しやすくなる。だが星5や6のオペレーターだけでチームを編成すればいいかというと、そうでもない。

 レアリティの高いオペレーターは広範囲に大火力をぶつけたり、敵の防御力を貫通するなどの強力なスキルをもっている傾向があるので、たしかにどのタイミングで出しても一定の活躍が見込める。しかし、その代償として配置に必要なコストが基本的に多いのである。つまりコストが潤沢ではない戦いの序盤は、敵の侵攻までに出撃が間に合わないパターンが頻出する。

「先鋒」に分類されるオペレーターは、敵を倒したりスキルを使ったりするとコストを回復できる。ステージ攻略の序盤では、彼らの支援が欠かせない

 一方で、星1から4までのオペレーターは、ステータスやスキル面でこそ高レアリティのキャラクターにかなわないが、配置コストが総じて低いという強みがある。性能はひかえめだが取り回しが軽い星4以下で序盤を抑えつつ、中盤〜終盤に強力な星5と6を投入して勝負を決める。それが『アークナイツ』の初歩的なテクニックだ。

レアリティが低いほど育成にかかる手間も少ないのもポイント。こちらは星3つのオペレーター
こちらは星6つのオペレーター。上と比べると、レアリティによる育成コストの違いが際立つ

 キャラクターのレアリティが区別されている以上、貴重なほうが強いのはスマートフォンゲームの宿命でもある。その点、自然なかたちでレアリティの低いオペレーターを起用できるのは、間違いなく『アークナイツ』の良いところだろう。

ガチャで手に入る「資格証」を一定数貯めれば、高レアリティのオペレーターと交換することもできる

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