ヤングケアラー、受け子、ワープア……貧困に苦しむ高校生を大人はどう救う?社会派ドラマ『覆面D』から紐解く

 また、「いいバイトがあるよ」と言われ、気付いたら半グレ集団の片棒を担いでいた小橋アキラ(紺野彩夏)と、鶴田源一(曽田陵介)。2人とも実家が貧しいため、親を助けるために、自立できるように、と目先の餌に飛びついてしまった。大人になれば、「そんなうまい話があるかい!」と気付くこともできるが、彼らはまだ10代。藁にもすがる思いで、危険なことに手を出したのだろう。

 “学校は教育の場所”と言いながらも、問題が起きるとすぐに退学処分にしようとする教師たち。しまいには、「うちをやめてから逮捕される分には、いいんですけどね」などと言ってのける。本当に、それでいいのだろうか……。疑問に感じた大輔は、アキラが働く違法キャバクラに足を運び、「僕も、同罪だから」と彼女に寄り添う覚悟を見せた。ともすれば、自分の教師生命が危うくなってしまうかもしれない。それでも、学校にも警察にも言わずに、「選択を一緒に考えよう」と本気で訴えかける。

 大輔を見ていると、自分の学生時代にこんな先生がいたらな……と思う瞬間がある。アキラと鶴田が、危険を感じた時に、真っ先に電話した相手が大輔だったのも、信頼関係が築けているからだろう。大輔が、問題が起きるたびに、“退学”をちらつかせてくる教師だったら、SOSを出すこともできなかったはず。頭ごなしに否定するのではなく、頼れる場所を作ってあげる。大輔は、そんな理想の教師像を体現している存在だ。そして、生徒からの信頼に、大輔も全力で応えている。そんな教師が、そんな大人が、少しでも増えたら、10代の若者は救われるのかもしれない。

『ABEMA』総力特集 人気作品の裏側に迫るインタビュー&コラム

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