本物のレスラー超え？“海青先生”と呼ばれるほどの役作り

――ところで、メンディーさんは鈴木さんから「オカダ・カズチカさんのようにドロップキックしてほしい」とリクエストされたそうですが、武知さんは見本にしたレスラーはいますか？

武知：僕はこの方っていうのはないんですけど、技1つ1つにトップレベルの選手がいらっしゃって、この技ならこの人、この技ならこの人っていうのが大体決まっているので、基本的にそれを全部なぞれるように練習しましたね。

――全部ですか！

武知：圧倒的勝利を掲げるハオウ役としては、どの技が不得意っていう弱点がないように、全部の技が万遍なくできるように、いろいろな技を研究しました。ダンスもそうなんですけど、自分は新しい振付をやる時、まずはしっかり見て覚えてから、自分の身体に落とし込んでいくんですよ。その考え方はプロレスの時もそうでしたね。ただやるんじゃなくて、まずは他の方がやっている姿を見て、身体の軌道であったり、足や手の持っていき方を一瞬で覚える。それを真似してみて、「こうやったほうがもっと良くなるな」と思うところがあったら、自分なりにアレンジしていく、という流れで技を習得していきました。

――取り組み方が論理的というか、トレーナー目線というか。武知さんが“海青先生”と呼ばれる理由がよくわかるエピソードだなと思いました。

武知：そうかもしれませんね（笑）。

――相手に技をかける時、怖くはなかったですか？

武知：もちろん、最初は怖かったです。受けるのも痛いですけど、人を殴ったり蹴ったりするのって、痛い上に、相手をケガさせてしまうかもっていう怖さがあるので。でも、それを怖がって躊躇すると、余計にリスクが上がるらしいんです。思いっきり蹴られないと、受ける側も上手いこと反転できなかったりとか、違うところを傷めてしまったりするそうなんです。だから、相手のことを思うなら思いっきりやれ！と、当時練習を見てくださった先生に言われて。それからは、恐怖心を捨てて技をかけられるようになりました。ただ、ドラマなので試合のシーンにも台本はありますけど、どうしても感情が乗っていってしまうことがあって、とある回の撮影の時、練習を見てくださった先生から「ちょっとやりすぎかも」って言われましたね。「本物のレスラーよりやっちゃってるから、押さえようか」って、小声で（笑）。

――当時ツアー中だったメンディーさんと武知さんが、無事に全公演を終えられてよかったです。

武知：本当に（笑）。それほど熱の入った試合シーンにも、注目していただけたらと思います。

――また、ハオウが所属するプロレス団体・BBTの副社長の息子・前田力役として、松井利樹さん（BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE）が出演されています。武知さんから見た松井さんの印象はいかがですか？

武知：利樹が演じる前田力は、プロレスオタクという設定なんですが、利樹自身も本当にプロレス好きで。自分が現場に入ってわからないこととか、プロレスに関して気になることがあった時、利樹に聞いたらすぐに教えてくれましたね。実際にプロレスラーの方が相手役として出てくださった時も、「海青さん、あの人超有名なんですよ！ ちゃんと見ておいたほうがいいですよ！」って嬉しそうに教えてくれて、可愛いなと思いました（笑）。正直、今回共演するまでは、Jr.EXILEとして同じステージに立つことはあっても、個人的な交流はほとんどなかったんです。でも、僕も利樹も初のドラマ出演という山場を一緒に乗り越えて、個人の距離感がグッと近づきましたね。いま、利樹はBALLISTIK BOYZの活動でタイに行っちゃってるんですけど、タイに行く前もよくLINEしていましたし、ずいぶん仲良くなったなぁと思います。

――グループの垣根を越えて個人同士の関係が深まることで、Jr.EXILEとしても関係が強固になっていくのは良いことですね。

武知：そうですね。これまでも特に敵対視していたわけではないんですけれども、4グループもいると、どうしても近寄るタイミングがない人が出てきてしまうので。こういうタイミングがあったら、その都度距離を縮めて、固く仲間意識を持って、Jr.EXILEの仲間として一緒に上を目指していけたらなって思います。

――では最後に、これからドラマ『覆面D』をご覧になる方へメッセージをお願いします。

武知：まずは、初の本格演技なので温かく見守っていただきたいですね（笑）。初めてのことだらけの撮影だったので、僕の姿から挑戦する勇気を感じ取っていただけたらいいなと思います。このドラマは社会問題を取り上げた作品ですが、登場するキャラクターたちと同じ境遇ではなくても、僕も自分なりの悩みがありますし、過去にもいろいろなことを乗り越えてきましたし、誰もが自分だけの問題を抱えていると思うんですよ。でも、それを現状のまま見過ごすのではなく、どんな形でも現状を変えることが大事だと僕は思っていて。『覆面D』は、新たな扉を開けるのか、過去に区切りをつけるのか、はたまた潔く逃げるのか……といった選択肢を持つ大切さを教えてくれる作品になっています。僕が演じるハオウも、過去に抱えているものがあって、自分なりの答えを出そうともがいている存在なので、一緒に前に進んでもらえたらいいですね。

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