『アーマード・コア4』最強のネクスト「シュープリス」が、コトブキヤ新ブランド第1弾に “勝つために作られた”機体のデザインを振り返る

 

国家解体戦争に参加した英雄の機体、シュープリス

 機体の再現度や搭載されたギミックの精巧さなどは書いたが、ではシュープリスとはどのような機体なのか。搭乗者や『AC4』の世界観も交えつつ、かんたんながら説明しよう。

(コトブキヤ公式チャンネルより)

 シュープリスというのは、人型兵器“アーマードコア・ネクスト”(以下、ネクスト)の一種。名前は固有であって、シュープリスが複数いるわけではない。今回ディコクションモデルとして発表された『レイレナード 03-AALIYAH シュープリス』で言うならば、“レイレナード社が開発したパーツであるアリーヤ系を基にした機体、固有名シュープリス”という風に訳せる。シュープリスの搭乗者はベルリオーズという軍人で、作中の説明を読む限りでは合理的な性格らしい。

 シュープリスが登場する『AC4』では、それまで頂点に立っていた国家に成り代わり、レイレナード社を始めとする複数の巨大企業が世界を治めている。そのきっかけとなったのが国家解体戦争だ。この戦いで企業が投入した30機足らずのネクストと、その搭乗者リンクスによって、各国の軍隊はおよそ1カ月で壊滅してしまった。

 国家解体戦争に参加したリンクスは“オリジナル”と呼ばれ、戦争で挙げた功績が多い順に数字が割り振られている。レイレナード陣営としてシュープリスを駆ったベルリオーズのナンバーは1。つまり国家解体戦争でもっとも多くの戦果を挙げた。シュープリスは、いわば英雄の機体といえる。

 音速にも近い移動速度や、敵からの攻撃を無力化する防御機構“プライマル・アーマー”など、ネクストは通常の兵器をはるかに超えた戦力を持つが、その代わりに動かすだけでも大変で、資本の支援が欠かせない。ネクストはどこかの企業が保有し、そこが製造、あるいは味方の企業由来のパーツや武器で構成を統一するのが基本だ。シュープリスであれば、保有しているのはレイレナード社となる。劇中で明言されたわけではないが、自社パーツのみを使った機体を活躍させることで、スポンサーである自分たちのイメージアップや売り込みを狙っているのかもしれない。

 レイレナードが保有しているシュープリスは、機体のベースこそアリーヤだが武器は複数のメーカーによって構成されている。右腕のライフル“051ANNR”と、肩にある対ミサイル用フレア“051ANAM”はBFF製。背中のグレネードキャノン“OGOTO”は有澤重工製で、自社の武器といえば左腕の突撃型ライフル“04-MARVE”のみだ。

 BFF社はレイレナードと距離が近い企業なので、味方であるレイレナード社が使っていてもおかしくはない。親しい企業のパーツを使うのは、ほかのネクストにも見られる光景だ。重要なのが、シュープリスが背中に装備しているOGOTO。これを製造している有澤重工はGA社の傘下にある。

 『AC4』の世界が複数の企業に支配されていることはすでに書いたが、利害や民族性、政治といったさまざまな要因により、その企業も対立している。有澤重工を擁するGA社はオーメル・サイエンス・テクノロジー(以下、オーメル)という企業に与しており、そのオーメルはレイレナード陣営とは敵対関係にある。ややこしいが、つまりシュープリスには敵のパーツが使われているわけだ。

 商売敵のパーツを使うのは、利益を追求する企業としてはできる限り避けたい。それでもレイレナード社がシュープリスに例外を許したのは、国家解体戦争の英雄である搭乗者、ベルリオーズの力量を慮ってのことだろう。そして、勝つためには敵のパーツすら使うという彼の合理的思考が、愛機のシュープリスにも反映されているに違いない。

 『アーマード・コア』シリーズの最新作は、現状、2013年に発売された『アーマード・コア ヴァーディクト デイ』だ。9年以上新作が出ていないシリーズを、こうした形で商品化してくれるのは、ファンとしてはありがたいところ。『アーマード・コア』以外にもさまざまなタイトルからディコクションモデルが今後出てくるようだが、第2弾以降も、ぜひ『アーマード・コア』の機体を出してほしいと思う。

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