ボイス監修・脚本も手がける敏腕Pの側面も にじさんじ・飛鳥ひなの歩んできた「特殊なルート」

 まず、彼女は非常に多くのボイスで監修・脚本を担当してきており、その腕前と実績から「ひなP」と呼ばれ、同業者ならびにファンから慕われている。これには、緑仙とともに企画・配信した「にじメンプロデュース」を2度にわたって放送したことが、もっとも大きな影響を持っているであろう。

 飛鳥と緑仙がそれぞれ制作した脚本を、にじさんじ所属の男性陣に演じてもらうという内容だった当企画は好評で、2度に渡って配信された。内容・クオリティの高さから、いまでも見返しに来るファンも多く、「ボイスってどんなものだろう?」という入門編としても最適な内容にもなっていることもあり、現在でも再生数が伸び続けている人気動画となっている。

 もちろん「もう一度やってほしい」「3回目はないか?」とファンから熱望されている企画配信でもある。今後3度目があるかどうかは、飛鳥ひなと緑仙のみが知るところだ。

【#にじメンプロデュース】第一回にじメンズプロデュース企画
【#にじメンプロデュース】第二回にじメンズプロデュース企画

 第一回目の配信が2019年5月8日、第二回の配信が2020年3月13日にそれぞれ放送されたわけだが、この時期から彼女の活動は目に見えて大きく変化していくことになる。

 元々男性VTuberが好きだった彼女。男性VTuberをうまくプロデュースするような配信をそれまでにしてきており、「ひなP」というのは冗談のような自称として彼女が使っていた言葉であった。

 それが2019年9月13日に「にじさんじメンバーからの台本依頼がお仕事として許可されました」とツイートして以降、にじさんじの同僚らが制作するボイス脚本を本格的に執筆するようになっていくことになった。「瓢箪から駒が出る」とはまさにこのことかもしれない。

 「にじさんじに入ってから台本を書き始めた」というが、2021年1月末時点で30人以上に執筆してきたとツイートしている。どのボイスが彼女の脚本なのかは購入してみてからのお楽しみともいえよう。

 彼女がここまでズバっとハマる脚本を書けるのは、映画や小説にかなり傾倒しているという嗜好性が大きい。黒井しばの脚本をその場で30分ほどで書き上げる速筆っぷりも驚きだが、『ワイルドスピード』にハマった影響で舞元啓介のボイスが『ワイスピ』風になったりと、その内容もウィットに富んでいる。

 2019年に催された秋葉原映画祭公式サポーターににじさんじが選ばれた際には、彼女は発声上映のお願い映像を担当しており、喜びもひとしおだったようだ。

 映画好きで脚本も書けるというと予想できるとは思うが、彼女もまた演技や声に魅入られたタレントのひとりでもある。現在非公開となっているが、彼女の初配信はなんと「ASMR配信」である。

 その後の活動のなかでもASMR配信を何度もこなしてきているが、幼げな子供から艶っぽい女性までシームレスに演じ分けできるほどに豊かな声をもった人物である。彼女のビジュアルに「大人」姿が加わったのも、この影響が非常に大きいだろう。

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