「女性VTuber×スポーツカー」という異色ジャンルで人気 花香琴音の持つ“3つの魅力”とは
最近、“解説系VTuber”が増えてきているのをご存知だろうか。その解説カテゴリは多岐に渡り、普通に生活しているだけでは知り得ない「犯罪学」や「神社」について解説しているVTuberもいる。
今回はそんな解説系VTuberの中から、比較的我々に身近な「車」について解説している花香琴音というVTuberについて記していく。
本チャンネルは現在「花香琴音 Kotone Racer Vtuber」というチャンネル名で活動している。現在残っている最初の動画は2019年7月23日であることから、3年以上VTuber活動をしていることがわかる。チャンネル名に”Racer Vtuber”とあるように、車というカテゴリの中でもスポーツカーに関する動画が多くを占めている。車に興味がない人からすれば触れる機会の少ないカテゴリであるが、12.5万人と多くのチャンネル登録者を獲得している。今回は、そんな本チャンネルの魅力について考察したい。
1つ目の魅力は、圧倒的な車に対する愛と知識量である。本チャンネルが活動を始めてから現在に至るまで、花香琴音はスポーツカーを何度か乗り換えている。このような生活をしていたらお金が足りなくなってしまうのではないか、と思うのも無理はない。その疑問に対して答えている動画があるのだが、その内容によると「車のために週6日もしくは7日働いていた」とのこと。スポーツカーは購入費だけでなく維持費も一般車に比べ高いことを考えると、お金が必要なことは容易に想像できる。しかしそのために週6日〜週7日働くというのは、並大抵ではない車への愛が感じられるエピソードだ。実際、車に関する知識を話している際はとても楽しそうに話していて、その楽しさがこちらまで伝わってくる。これも彼女が持つ魅力の1つである。
車に関する知識についても、実際に動画を見てみるとわかるが、特にレビュー系やサーキットを走ってみた、といった動画では車好きも満足するボリュームになっている。
2つ目の魅力は、「車×VTuber」という、まだあまり開拓されていないカテゴリで活動しているという点だ。車のレビューをしたり、サーキットを走ってみたりといったカテゴリで動画を投稿しているチャンネルは多くあるが、車を紹介・レビューしたり、パーツを交換したりする動画は大抵、実写で撮影しながら解説を行い、その映像を編集して投稿されることが多い。しかし本チャンネルの動画では、実写で撮影した映像に後から声で解説を入れるという編集方法を取っている動画が印象的だ。実写の場合、風の音やマイクの位置などの関係で解説が聴こえなくなってしまうことがある。しかし後から声を入れる場合はその心配は無用となる。また解説が後からできるぶん、まとまった話ができるという利点もあり、見やすい動画となっている。そこにVTuberである花香琴音の表情・動きなども追加されるため見やすい、かつ見ていて楽しい動画となっている。
これは車×VTuberというフィールドだからこその魅力である。
3つ目の魅力は“ギャップ”である。スポーツカーに関する動画を多く投稿している本チャンネルだが、「女性に嫌われ続ける車好きの行動」や「女性がやってしまう車好きに本気で嫌われる行動」といった女性目線での動画も投稿している。またそれ以外にも『グランツーリスモ』などのゲームに関する動画も投稿されている。
現在314本の動画が投稿されているが、ここでは(1)スポーツカーに関する知識をある程度持っている人向けの動画、(2)スポーツカーに関する知識が無い人向けの動画、(3)ゲーム実況、(4)その他(質問コーナーなど)の4つにジャンルを分け、その本数を比較してみる。
(1)スポーツカーに対する知識をある程度持っている人向けの動画:86本
(2)スポーツカーに関する知識が無い人向けの動画 :79本
(3)ゲーム実況 :90本
(4)その他(質問コーナーなど) :59本
比較した結果は上記のようになった。この結果を見ると、(1)〜(3)のジャンルに比べ、(4)は少なめの投稿本数になっている。(4)は質問コーナーなど、他の(1)〜(3)とは少し離れたジャンルとなっているためこの差は納得できる。一方で(1)〜(3)のジャンルの投稿本数においてはあまり大きな差がないように感じる。
次に投稿時期を比較してみると、チャンネル初投稿から1年程度は(3)ゲーム実況を多く投稿しており、それ以降段々と(1)や(2)の動画の投稿頻度が増えていることわかった。(1)と(2)は投稿時期も被っていて、かつ本数にも大きな差がないことから、本チャンネルでは意識してジャンル分けをしていないと考えられる。
そのため、スポーツカー好きの人向けの動画を見ていても、「女性に嫌われ続ける車好きの行動」といった動画がおすすめに出てくることも珍しくない。スポーツカー好きからすれば、このような動画の中身が非常に気になるだろう。恋人の有無は抜きにして、車好きというだけで人から嫌われるのは耐え難いことだからである。このように同じ車というカテゴリの中でも、普段はあまり見ないジャンルの動画についつい手が伸びてしまうコンテンツを作っていることが魅力なのだ。
この例の逆も考えてみる。スポーツカーには興味が無くても、知り合い・家族・恋人などに車好きがいる場合、「女性がやってしまう車好きに本気で嫌われる行動」といったタイトルの動画は気になるだろう。そのような動画を見ていると、車のレビュー動画などがおすすめに出てくる。動画内容は、車好きとは言え、専門用語をたくさん使って解説している訳ではなく、ある程度初心者が見てもわかるような動画となっている。そのため「この動画に出てくる言葉の意味がわからないんだけど」といった会話や「この人がこの車をレビューしてたんだけと知ってる?」といったように話の種として使うこともできる。
車の解説のみをしているなど、完全にジャンルを絞っているチャンネルではこのような見方はできない。車系というカテゴリの中でも、ある程度「ギャップ」がある「花香琴音 Kotone Racer Vtuber」というチャンネルだからこその魅力であると考える。
3年以上も活動を続けてきた本チャンネルであるが、当記事にも記したようにたくさんの魅力があり、これからもその魅力が薄れることはないだろう。車に関する知識や楽しさを教えてくれる彼女に、これからも注目していきたい。