人はなぜ「ローポリ」や「ドット」のゲームグラフィックに心惹かれるのか? あなたの知らない「デメイクトレーラー」の世界

人はなぜ昔のグラフィックに心惹かれるのか?

 「往年の名作が復活」「あの傑作がウン十年ぶりに蘇る」など、ゲーム業界では時代を問わず、過去の作品が”リメイク”という形で再び世に送りだされることが多々見受けられる。たとえば国民的RPG『ファイナルファンタジー』シリーズの第7作目は『FINAL FANTASY VII REMAKE』で文字通りリメイク化を果たし、直近の話題で言えば『タクティクスオウガ リボーン』の発表もリアルタイム世代の心を大きく揺さぶったのではないだろうか。

 だが、本稿で取り扱うのはリメイクではなく、現行の作品を過去風に作り直す『デメイク』である。高精細なグラフィックで描き出されたゲーム作品を、あえて過去の家庭用ゲーム機用ソフトをイメージして捉え直す。これが、本稿で読者の方々にご紹介したい『デメイク』の概念。

 ここからは、筆者が独断と偏見でピックアップしたゲーム作品の”デメイク映像”を参照しつつ、ローポリゴン化(ローポリ化)を経た現行ゲーム作品の数々がなぜ魅力的であるかをざっくりと考えてみたい。

制作者の徹底したこだわりが見える珠玉のデメイクトレーラー

 本稿で取り上げるデメイクとは、「あるゲーム作品をデザインやシステムも含め昔風に作り変えたものであり、その作風を生かしたゲーム映像」を指す。やや極端な例だが、「プレイステーション4用ソフトをプレイステーション用ソフト風に作り変える」とイメージして貰えれば分かりやすいかもしれない。キャラクターモデルを一つ取って見ても、顔の毛穴まで見えそうな高精細な3Dモデルではなく、角張ったポリゴンに簡素なテクスチャが貼り付けられたローポリゴン、もしくはスーパーファミコン用ソフトを彷彿とさせる2Dドットが主役。それがデメイクトレーラーの特徴である。

If Minecraft was made in 1998

 上記はサンドボックスゲーム『マインクラフト(マイクラ)』のデメイクトレーラー。タイトル名の通り「もし1998年にマイクラがあったら?」という意図のもと、映像内には見下ろし視点になったマイクラのプレイシーンが収められている。機種はプレイステーションを想定しているのか、画面右上に各種アクションを割り当てたボタンが配置済み。さらに装備品は左下、体力は右上という具合に、オリジナル版から幾つか変更点が見られる。より細かい点で言えば、ブラウン管モニターを意識したであろう画面の滲み、および映像のブレといった演出のこだわりも見逃せないポイントである。なお動画は2017年8月に公開後、2022年8月時点で320万回以上の再生回数を記録している。

 現行ハードのゲーム作品と見比べると旧時代の産物にしか見えないものの、90年代のゲーム作品で育った世代にとっては、デメイクトレーラーの全てが”あの頃”を想起させるトリガーになり得ると言っても過言ではない。ゲーム業界にもそうした作風に着目するクリエイターは存在しているようで、アクションアドベンチャーゲーム『Back in 1995』を制作した一條貴彰氏はインタビューにて、プレイステーションやセガサターンのゲーム作品で見られたローポリゴンを”レトロポリゴン”と呼称。「それぞれに表現方法の違いがあって豊か(中略)僕はレトロポリゴンの価値を世の中に証明する使命感があった」と自身の体験を交えながら言及している(参照:プレイステーションやセガサターンの“ローポリ”は進化の過程で生まれたあだ花ではない。とあるゲーム作家が「レトロポリゴン」の魅力を伝えるために自らゲームを作った理由。

Fortnite Battle Royale on Playstation 1!!

 こちらはEpic Gamesが2017年にリリースした『フォートナイト』のデメイクトレーラー。同タイトルはクラフト要素のあるバトルロイヤルゲームとして一大ブームを築いたほか、昨今では業界の垣根を越えたコラボレーションや独創的なプロモーション手法でも有名である(参照:米津玄師がFORTNITEに登場 ゲーム空間でライブを体感)。そんな『フォートナイト』のデメイクトレーラーを見ると、テーマが”プレイステーション向け3Dアクションゲーム”であることが一発で伺えるし、ロック調のBGMもどこか90年代の洋ゲーを思わせる仕上がりである。

 一方で、ゲームの基本的な部分はそれほど変わっていないようにも見える。アイテム欄や体力ゲージの位置は据え置きで、右上のミニマップ表示も解像度を除けばオリジナル版との大差は無い。グラフィックの違いこそあれど、先ほどのデメイク版『マイクラ』と比べれば、その差異は小さい方だろう。このように、デメイクトレーラーは単純に懐かしさを呼び起こすだけでなく、「制作者の意図や表現手法がどのように映像へ反映されているのか」という点において興味が湧きやすいのも魅力と言えるだろう。

 実際の制作に際してはBlender・Photoshop・Unityなどのソフトが多く使われているものの、”どこを・どのように”古く作り変えるかはクリエイター次第。だからこそ、十人十色のデメイクトレーラーが作られ続け、大勢のファンが彼らの創作物に心を動かされるのではないだろうか。(参照:How Modern Games Might Look In The 90s By 98Demake – Interview

 本稿で取り上げた作品以外にも、『The Last Of Us』『Max Payne』『Elden Ring』などなど、紹介したいデメイクトレーラーはまだまだ盛り沢山。興味がある方は、ぜひYouTube等で検索ボックスに”Demake”と入力してみて欲しい。90年代に青春を過ごしたゲーマーだけでなく、若い世代もきっと心惹かれるユニークな作品に出会えるはずだ。

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