安土桃はなぜ「天才」と呼ばれるのか そのスウィートでトリッキーな魅力に迫る
現在のVTuberシーンにおけるトップランナーの一つであるにじさんじ。そのなかにおいてもタレントの活躍する分野は日々拡がっている。
メインとなる生配信に加え、事務所が主導する企画への参加や監修、主に一人ひとりのライバーが主導となって進む歌ってみたなどの動画のほか、ここ1年ほどはエンターテインメントのフィールドでアーティストとして日の目を見る者も増加している。
デビューから順を追うように紹介してきた本連載。元1期生、元2期生、元ゲーマーズ組の次は2期にわたる元SEEDs組。その中から今回は安土桃について書いていこうと思う。
安土桃は、2018年6月3日にTwitterにて初ツイート、6月16日にYouTubeで初配信、SEEDs1期生のシークレット枠としてデビューした。
「バーチャルクリエイターを目指している。特に絵を描くことが好き。配信をやるために適当に付けた名前なので本名は別にあり、歴史のことはあまり知らない様子。」
と、にじさんじ公式サイトにあるように、彼女の画力はとても高い。デビュー時から現在に至るまでにいちどおおきくビジュアルを変えたことがあるが、以前のデザインと現在のデザインのどちらにも桃本人が大きくかかわっている。
自身の配信のなかでその画力を見せることはあまり多くはないが、SNS上などでアップするイラストはどれも秀逸。ラフなタッチであっても柔らかい線と的確な色使いで繊細に表現しているあたり、彼女の高いセンスが感じられる。
カラフルでキュートな見た目にもピッタリな声質とトーンを持っているのも、彼女を話すうえで欠かせない。柔らかくてナイーブな質感、特徴的で甘めなトーンをリスナーに届けてくれる彼女。
その声質の良さを活かす点でASMRでのボイス配信が期待されるが、なかなか配信で実施されることはないなか、2022年3月にはASMRリクエストボイスが発表された。
安土桃に喋ってほしい400文字を購入者側がオーダーし、それをバイノーラル収録するという内容だった。当然応募してきた購入者全員に対応するのは難しいため、先着20名限定のみの販売、加えて手書きメッセージもつけて購入者に届けるというパッケージング内容となったことで、販売価格も7500円とかなり高額な一点モノグッズとなったのだ。
発売日となった3月30日の午後6時から少し遅れて、午後6時4分に安土本人がTwitter上でアナウンスすると、ファンからは相次いで「負けちゃった」「間に合わなかった」「開始1分で売り切れた」という返信ツイートが多数寄せられ、なんとわずか4分間で20名限定ボイスは売り切れとなったのだ。これには安土本人も驚き、告知するヒマすらないことに驚きを覚えていた。
社築などが安土桃を「天才」と評することが多いが、自身で描いたルックスも良し、自身が発する声も良し、これにLive2Dの動きもルックスや声にもマッチして愛くるしさもあるとくれば、「天から賦与されたギフト」として受け取られるのも仕方ないだろう。