「Nothing Phone(1)」はなぜハイスペックではないのか スマホ業界に提示する新たな価値観

 Nothing Technologyは「Nothing Phone(1)」を世界的に発表することで、華々しくスマートフォン市場への参入を果たした。コモディティ化(一般化)が叫ばれて久しく、ライバルも多い同市場にて、Nothingはどのような勝機を見出しているのだろうか。

ワイヤレスイヤホンから始まった快進撃

ear(1)

 Nothingはスマートフォンブランド「OnePlus」の共同創業者であるCarl Pei氏により、2020年に立ち上げられたブランドだ。そのコンセプトには、アイコニック(象徴的)なデザインやオープンなエコシステム、サステイナビリティ(持続可能性)、Web3、コミュニティなどがあげられている。

 そして第一弾のプロダクトとなったワイヤレスイヤホン「ear(1)」は、イヤホン本体やケースに大胆にスケルトンデザインを取り入れ、一躍話題となった。また低価格ながらANC(アクティブノイズキャンセリング)機能に対応し、音質でも十分な評価を得るなど、高い技術力をうかがわせた。

狙いはユーザビリティの向上

 Nothing Phone(1)はスペックだけをみると、それほど面白いスマートフォンではない。プロセッサはQualcommのミドルレンジ向けとなる「Snapdragon 778G+」で、最大120Hz駆動のディスプレイやデュアルカメラといったスペックも、特に注目するようなものではない。またIP53と低めな防塵・防水性能や、おサイフケータイ機能への対応が未定となっている点も、国内での使用を考えると若干気になる。

 むしろNothingが狙っているのは、スマートフォンの使い方の革新だろう。Nothing Phone(1)の背面に搭載されたLED発光機能「Glyph Interface(グリフ・インターフェイス)」は、スマートフォンの画面を机に伏せたままでも、ユーザーとのさまざまなコミュニケーションを可能にする。

 例えば、電話の着信ではかけてきた相手にあわせて、発光パターンを変えることが可能だ。これにより、大事な人からの電話にすぐに気づいたり、あるいはプライベートな時間は家族以外からの電話は受けない、なんて使い方もできる。

 背面のワイヤレス充電機能は、上においたワイヤレスイヤホンなどを充電する「リバースワイヤレス充電機能」も備えている。自宅に帰ったら、Nothing Phone(1)はイヤホンなどの周辺機器の充電ステーションとして画面を伏せ、デジタルノイズに邪魔されない時間を過ごすのもいいだろう。

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