そこには「Revenge(雪辱)」の意味もあった? 移植であり新作でもあった傑作『超魔界村R』の揺るぎない価値

「Rebirth」「Request」「Revolution」そして……「Revenge」?

 「アレンジモード」以外にも特筆すべき追加要素がある。「セーブ機能」だ。これは「アレンジモード」に限らず、「オリジナルモード」にも実装されており、途中経過を好きなタイミングで記録しながら本編を進めていけるようになっている。

 オリジナルの『超魔界村』にはそのような機能は存在しなかった。基本的にエンディングまでクリアするなら、その日のうちに2周目も含めたぶっ通しで取り組むのが必須。厳密には”とある裏技”を用いれば、短時間でエンディングを迎えられるのだが、正攻法の場合は別。必ず2周目も含め、全ステージを1日のうちにクリアしなければならなかった。

 しかも、前述の通り最終ステージ突入には特別な武器が必要。それを手に入れられなければ、前座のステージをクリアしても門前払い。取った上でクリアしない限りは最終ステージへと突入できないのである。

 まさにプレイヤーの腕前に限らず、根気も試される涙が出るほど厳しい設計になっていた。それゆえ、正攻法で挑んだ当時のプレイヤーの中には、あまりの厳しさに心が折れ、クリアを断念したという人も少なくないかもしれない。

 なにせ、セーブ機能もなければ、パスワードによるコンティニューもできないから、日を跨いでの再挑戦はほとんど無理。スーパーファミコンの電源を切ってしまえば一瞬にしてそれまでの苦労が水の泡となる。前述の”裏ワザ”を使ったり、あえて電源を切らず放置する方法を取るとなれば話は別だが、それは横に置くとして。そんな厳しすぎる作りに「途中経過を記録できる作りであれば……!」と思うことがあったかもしれない。

 そんな11年越しの思いを『超魔界村R』は結実させた。ステージの進行に限らず、現在持っている武器、鎧の状態などの細かい情報も含めて記録可能にし、プレイヤーのペースに合わせた攻略を実践できる設計に刷新したのだ。もちろん、2周目の記録も残せる。なので、「今日は時間がないから、明日に改めてやろう」という攻略法も実践できる。

 正攻法で挑むも、どうしてもできず諦めた当時のプレイヤーにとってはまさに待望とも言える機能。これもあって、スーパーファミコン版当時の無念を晴らす機会を与えてくれる設計にもなっている。まさに『超魔界村Revenge』といったところである。

 ちなみにタイトルに冠された『R』には、3つの意味が込められている。

 ひとつは「Rebirth(復活)」。『超魔界村』以降、シリーズは『レッドアリーマーII』、『デモンズブレイゾン 魔界村 紋章編』、『アーサーとアスタロトの謎魔界村 INCREDIBLE TOONS』、『マキシモ』といった派生作品が展開され続けていた。

 そのため、『超魔界村R』は正統な『魔界村』としては(移植とはいえ)久しぶりの新作。そんな復活を意味する『R』だ。

 もうひとつが「Request(要望)」。

 当時のファンの声に応える形で、スーパーファミコン版の雰囲気やゲーム性をゲームボーイアドバンスに再現したことを指している。

 公式には言及されていないが、セーブ機能の搭載もここに含まれるのかもしれない。

 そして「Revolution(革命)」。

 「アレンジモード」における革命的な試みを指している。

 実際、次に攻略するステージを(条件達成で)自由に選べる、2周目がないという点においては、まさに『魔界村』としては異例の作りといっても過言ではないだろう。

 以上が公式に明かされていた『R』の意味となる。(参考:https://web.archive.org/web/20021019100438/http://www.capcom.co.jp/makair/)

 ただ、それ以外に当時も現代においても、4つ目として「Revenge」……「復讐」ではなく「雪辱の機会」という意味が込められていたように思えるのだ。現に「セーブ機能」のおかげで、エンディングまで攻略できる可能性がオリジナルより増しているからだ。

 もっとも、決して誰でもクリアできるほど易しくなっている訳ではない。基本の難易度はオリジナルと共通のため、人によっては心をへし折られる余地は残されている。

 だが、オリジナル当時の通しプレイを余儀なくされた作りを思えば、遊びやすさに関しては圧倒的に向上していると言える。

 なにより、途中経過を記録しながら、2周目以降も進めていけるのだ。そんな本当に凄腕かつ根気のあるプレイヤーに限定されていたに等しいゲームクリアへのハードルを下げ、より手軽に作品特有の世界観などを堪能できるようにした点で、本作はシリーズにとってまさに革新的……それこそ「Revolution」な作品だったのは間違いない。

 後に発売された『極魔界村』などの新作を見ても、セーブ機能やステージ分岐といった試みが一部、形を変えながらも採用されている。

 そのことからも『超魔界村R』が残した足跡というのは、『魔界村』というシリーズにとっても極めて大きなもの、「Revolution」だったと言えるだろう。

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