SNSで反響呼ぶ“かわいい”コントローラー『Xbox Design Lab』が支持を集める理由
米・マイクロソフト社が6月9日に国内展開をスタートした『Xbox Design Lab』が反響を呼んでいる。
『Xbox Design Lab』はなぜフリークたちの心を掴んでいるのだろうか。サービスの概要、市場のトレンドから支持の理由を考える。
自分だけのコントローラーを作るオーダーメイドサービス『Xbox Design Lab』
『Xbox Design Lab』は、Xboxワイヤレスコントローラーの外観を自由にカスタマイズし、購入できるオーダーメイドサービスだ。調整できる部位は、ボディ全体や背面、グリップ、ボタンなど9種類。それぞれあらかじめ用意されたカラー・デザインの中から、ユーザーの好みで自由に選択できる。基本価格は7,678円(※)だが、一部追加料金が必要なメニューもある。すべての有料オプションを選んだ場合の価格は1万2,198円(※)。注文から4週間以内に手元に届く仕組みだ。
同サービスは2016年、かねてからXboxプラットフォームが流通してきた欧米よりスタートした。2020年には一度提供が休止となったが、2021年6月にXbox Series X/S用コントローラーを対象に再開されている。今回、追加提供となった国は、日本、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、シンガポール、チェコ、ギリシャ、ハンガリー、ノルウェー、スロヴァキア、スイスの11か国。今夏には、アジア圏から台湾が追加されることもすでに発表されている。
好きなゲームを、好きな色のコントローラーで🎮
自分だけの Xbox ワイヤレスコントローラーをカスタムできる
Xbox Design Lab がついに日本上陸🚢😎https://t.co/BI6RJHeeem#Xbox#XboxDesignLab pic.twitter.com/efZ5dVKBtL— Xbox Japan (@Xbox_JP) June 10, 2022
※価格はすべて税別・送料込みの数字。
支持の理由は、“MNG文化”と「カスタマイズ」「パーソナライズ」のトレンドに
対象地域の拡大から約1か月が経過し、日本国内の利用者の手元にも、ようやく注文商品が届き始めた。SNSには連日、「自分だけのコントローラー」を画像とともに紹介する投稿が集まる。あらためて界隈は盛り上がりを見せている現状だ。
注目すべきは、Xboxを所有していないユーザーにも同サービスが利用されている点。見ていると、PCやモバイル端末でのゲームプレイにXboxコントローラーを活用する目的のようで、本来の同機器の市場とは異なる範囲にまで影響が波及しつつある。コンバーターなどを使えば、PlayStationやNintendo Switchでのゲームプレイにも流用できる。今後は、追加機器込みで両プラットフォーム用にXboxコントローラーを作る流れも生まれるかもしれない。
古くからガジェットの領域では、新たに自身の環境に取り入れた道具に対し、「my new gear…(MNG)」と愛着を持って表現する文化があった。『Xbox Design Lab』をめぐる一連の流れは、まさに同文化を体現したものであると言えるだろう。
一方、飲食・小売などの分野では近年、サービスをユーザーの特性・趣味・嗜好に合わせる形で提供する「カスタマイズ」「パーソナライズ」といったトレンドが注目を集めている。「100種類以上のラインアップの中から、ユーザーのそのときの気分に合わせたおやつを食べきりサイズで提供する『snaq.me(スナックミー)』」、「利用者の悩み・髪質に合わせ、5万通りの組み合わせからぴったりのヘアケア商品を提供する『MEDULLA(メデュラ)』」などは、その一例だ。『Xbox Design Lab』もまた、これらと同様の文脈にあるサービスだと言える。「自分だけが持つアイテムによって、生活が彩られていく」そのような体験こそが、「カスタマイズ」「パーソナライズ」の魅力なのだろう。
過去を振り返ると、「ゲーム機本体、及び周辺機器のカラー・デザインを特定の人気タイトルのイメージで統一したパッケージ」が人気を博したり、「付属品とは異なったカラー・デザインのコントローラー」が2つ目以降に選ばれたりと、たしかにここには一定のニーズがあったが、これまでは「既製品」しか提供されていなかった。現代の消費者に求められるサービスを実現した結果が、日本での反響にもつながっているはずだ。ゲームの分野においては、『Xbox Design Lab』が「カスタマイズ」「パーソナライズ」の初の成功例となっていくに違いない。