ゲームのダウンロード購入を利用したことがあるのは25.3%。パッケージからオンライン購入への変化とは?

25.3%がゲームのダウンロード購入を利用

 株式会社ゲームエイジ総研は、国内唯一の「ゲームビジネスに特化したマーケティングリサーチ&コンサルティングファーム」として様々な分析を行っている。今回はゲーマーに「ゲームのダウンロード購入」や「ゲームのサブスクリプションサービス」「クラウドゲームサービス」の利用状況について調査した結果を発表した。

 背景として、国内でサービスを展開する各社のサブスクリプションの対応状況がある。Microsoftが日本で提供している「XBOX GAME PASS」では、今後も多数のタイトルがサブスクリプションに含まれることが発表され、また、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)も、6月にサブスクリプションサービス「PlayStation Plus」のサービス内容を変更。任天堂も既存の「Nintendo Switch Online」というサービスに「追加パック」を導入するなど、ゲームをプレイできる環境は益々多様化している。


・約1/4のゲーマーが「ゲームのダウンロード購入」の利用経験ありと回答

 ゲーマーに「ゲームのダウンロード購入」「ゲームのサブスクリプションサービス」「クラウドゲームの利用経験」について聞いてみたところ、「いずれも利用したことがない」と回答したユーザーが7割を超えました。日頃ゲームをプレイしているゲーマーは、無料ダウンロードができるゲームアプリやパッケージ購入でのプレイが多く、ゲームソフトのダウンロード販売やサブスク購入などはあまり利用していないことがうかがえた。

 3つのサービス形態のうち、「ゲームのダウンロード購入」の利用経験者は25.3%で、全体の約1/4という規模となっている。続いて「ゲームのサブスクリプションサービス」の利用経験、「クラウドゲームのサービス」の利用経験の利用経験を聞くと、いずれも4.3%と低い数値で、ダウンロード購入などに比べると、まだまだ利用率が低いという現状がわかった。

・ 「ゲームのダウンロード購入」の利用満足度は89.2%

 ゲームのダウンロード購入経験者は全体の約1/4と、まだまだ多数派とは言えないが、利用満足度を聞いてみると「とても満足」と回答したのは17.0%、「満足」と答えたのは72.2%で、合計89.2%と、9割近いゲーマーが満足していることがわかった。

 理由について見ていくと、「簡単で楽」という意見が多数を占め、「店頭にいく手間、探す手間が省けること」(18歳/女性)や、「自宅にいながらいつでも購入できること」(36歳/男性)という意見が挙げられた。また関連して「実店舗のように売り切れ、未入荷がない」(41歳/男性)、「いつでも買える 売り切れがない」(29歳/男性)など、ダウンロード版の優位性である、欠品・売り切れがないというメリットをあげるゲーマーが多く見られた。

 その他、目立ったのが「現物がない」「ソフトのケースなどの場所を取らない。」(15歳/女性)や、「ディスクが邪魔にならない」(48歳/女性)のような意見や、「ディスクの入れ替えが不要」といったメリットも見られた。

 一方、デメリットと感じていることは、「中古で売れない」という意見が目立つ。「ゲームをしなくなったときに売却出来ない」(32歳/女性)、「飽きた後に売れない」(13歳/女性)という意見が多数を占める結果となった。パッケージ版のゲームを購入し、クリアしたり飽きてしまった場合は中古として売却し、次のゲームの購入費にあてるというゲームリサイクルは、長年続いてきたゲーム業界独特の消費スタイルと言えるだろう。そのため中古販売が出来ないことをデメリットに感じているゲーマーが多いと想像できる。また、「購入したあとすぐにセールが始まって、かなり損をした」(44歳/男性)という、セールを頻繁に行うことが多いダウンロード販売だからこそ、それをデメリットと感じる意見や、「パッケージがないからコレクション出来ない」(40歳/男性)という、コレクターとしての所有心理を満たすことができないという意見も見られた。

・「ゲームのサブスクリプションサービス」の利用満足度は80.0%
 続いてゲームの「サブスクリプションサービス」について見ていこう。利用したことがあるのは4.3%とこちらも少数派だが、利用満足度を見ると、「とても満足」と答えたのは12.0%、「満足」と答えたのは68.0%で、合計すると利用者の満足度は8割に達する高い数値になった。

 メリットとして挙げられたのは「気軽に様々なゲームが遊べる」という点。「いろいろなゲームをやり放題」(37歳/男性)、「安価で沢山のソフトが遊べる」(41歳/男性)のように、定額料金さえ支払えば様々なゲームが自由に遊べる点をメリットと感じているようだ。

 一方でデメリットとしては「遊びたいゲームが少ない」(49歳/男性)、「気になるタイトルが少ないとただ割高だと思う」(29歳/男性)のように、タイトルラインナップに対する不満意見が見らる。今後きめ細かくニーズに対応し、ラインナップが充実していけば、サブスクリプションサービスに対するこのような意見も改善されることだろう。

・「クラウドゲーム」の利用満足度は76.6%
 次に「クラウドゲーム」について聞くと、先ほどの「サブスクリプションサービス」と同様、利用経験は4.3%と少数だが、利用満足度は、「とても満足」と答えたのは10 .5%、「満足」と答えたのは66.1%でした。「ゲームのサブスク」と比較すると、満足度はやや下がる傾向ではあるが、それでも利用者の7割以上が満足と回答する結果となった。

 メリットとして挙げられたのは「ダウンロードが不要で手軽」という点。「手軽に利用できる」(19歳/男性)、「起動が楽」(32歳/男性)という意見が多く見られた。この点はデバイスの性能に依存することが少ない、クラウドゲームの仕組みのメリットが生かされている点と言えるでしょう。

 一方でデメリットとして挙げられたのは「回線に起因する問題」です。「プレイ中遅延を感じた」(43歳/男性)、「画質が安定しなかったりラグが発生した」(51歳/男性)という意見があった。これらは回線環境が改善されることが必要となるため、今後のさらなる技術革新に伴う通信品質の向上と通信価格の低下により改善される可能性が高い。

 このように、「ゲームのダウンロード購入」「ゲームのサブスクリプションサービス」「クラウドゲーム」など新形態のサービス利用者は、先進性が高いと思われているゲームユーザーの中でもまだまだ少数派ではあるが、利用したゲーマーの満足度は総じて高いということが今回の調査で明らかになった。

 これまでゲームの購入と言えば量販店や専門店でパッケージソフトを購入するというスタイルが主流でした。しかし昨今では多様なサービスが提供されることによりゲームの消費行動やプレイ環境も日々変化している。この流れは今後もさらに一般化し定着していくのは間違いないだろう。ゲームマーケットやビジネス形態の変化に伴い、一昔前のパッケージという、言わば「工業製品」に対する支出から、「デジタルデータの価値」に対する消費へ、さらに「ゲームデータの置き場所」や「ゲームの所有」というゲームユーザーの意識や概念の変化も進んでいくと考えられるだろう。

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