『テイルズ オブ ルミナリア』はなぜ短命に終わったのか スマホゲー市場の現在から考える
コンテンツに合わせた収益モデルの必要性
こうしたスマホゲーム・ソーシャルゲーム市場の状況に対して、本作の課金システムは親切であり、言い方を変えれば「弱く」見えてしまう。本作は21人いる主人公全員が新規キャラクターのため、『テイルズ オブ』シリーズでありながら、歴代の人気キャラクターは登場していない。また、ガチャもキャラクターを引くものではなく、装備品をゲットするためのものだけが存在するだけで、キャラクターの魅力を収益に活かしづらいのだ。
これはあくまで筆者の考えだが、本作は「21人の主人公それぞれの視点でストーリーを描く」というコンセプトを多くのユーザーに体験してもらいたいと考え、キャラクターガチャの仕組みを取らなかったのではないだろうか。もしそうならば、競争の激化するスマートフォンゲーム市場で、開発陣の提供したい体験と、収益を上げるための課金システムのミスマッチが、本作を短命に終わらせてしまった最大の理由だといえるだろう。
もちろん、リリース後セールスが伸びず、サービス終了となるゲームは数多く存在し、本作はその一例に過ぎない。とはいえ、今後、早期でのサービス終了が続けば、運営企業や、その元となったコンテンツだけでなく、スマートフォンゲーム市場全体の信用を損なうリスクは軽視できないだろう。
こうしたことを防ぐためにも、運営元は、良質なゲームコンテンツの供給だけでなく、そのゲームに合った収益モデルの選択が必要となってくるのではないだろうか。昨今では、売り切り型のゲームだけでなく『Apple Arcade』や『Google Play Pass』のようなサブスクリプションサービス向けのゲーム開発なども選択肢として存在する。スマホゲーム市場が飽和し、競争が激化している以上、基本無料というモデルが「高くつく」こともあるのだ。