近距離無線通信に革命を起こした規格「Bluetooth」を改めて解説(後編)

名前の由来は“北欧の王様”?「Bluetooth」を改めて解説

次世代オーディオコーデック「LC3」

 ここまではBluetooth BR/EDR向けのコーデックを紹介してきたが、Bluetooth LEは従来のBluetoothよりも転送速度が低いため、オーディオ機器の利用にはあまり向いていないとされていた。しかしBluetooth LE自体の高速化に加え、新しい音楽向けプロファイルが登場したことで、オーディオ機器での利用にも道筋がついた。

 Bluetooth 5.2で導入された「LE Audio」は、Bluetooth Classic登場以来、約20年ぶりに完全新規で実装されたオーディオプロファイルだ。LE Audioでは、SBCの代わりに「LC3」(Low Complexity Communications Codec)が採用されている。LC3はSBCの半分程度のビットレートでも音質が同等以上とされているコーデックで、これ1つでaptXやAACなどに対応する必要がなくなると期待されている。また、もともと補聴器用として開発された経緯があり、ハイレゾ対応を含む幅広い機器に対応できるスケーラビリティがある。さらに、1つのソースに対して複数のシンクを接続できる「マルチストリームオーディオ」や、多数の機器にブロードキャストできる「オーディオシェアリング」といった機能をサポートしている。

 残念ながら、現時点ではLE Audioに対応した製品はまだ市場にほとんど登場していない(ハーマン『JBL LIVE FREE 2』などが対応予定)。またOS側のサポートがどうなるかもはっきりしていないが、標準規格として登場した以上、iOSもAndroidも、完全に無視するわけにはいかないだろう。今年後半ごろから市場が立ち上がっていくものと予想されるため、これから販売されるBluetoothオーディオデバイスについては、LE Audio対応の有無に注目したい。

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