【特集】社会は「ひとり空間」を求めている(Vol.2)

「ソロワークスペース」やYouTuberの支援まで 個人活動の場所を提供するスペースマーケットがコロナ禍で捉えた変化

はじめしゃちょーなどYouTuberにも場所を頼られる存在に

ーー貴社はYouTuberなどの動画クリエイターにも場所を提供するなど、積極的な支援がみられます。これはなぜでしょうか。

井上:動画クリエイターの方々はもちろん企画力や編集、撮影技術というものは必須ですが、まず場所が必要になりますよね。撮影する場所、編集する場所、ひとりひとりのクリエイターによって異なるはずです。そんな場所に関する問題を解決するときに、スペースマーケットを思い出してほしいという願いから始めました。

ーー実際に動画で使われた場所などありましたか?

井上:はじめしゃちょーさんの「【危険】24時間エスカレーター生活してみた。」という動画で使っていただいています。「都内でエスカレーターを20時間借りられるところはないですか」と聞かれて(笑)。あとは「メラゾーマを科学的に実現させてみた!」という企画でも使っていただきました。

メラゾーマを科学的に実現させてみた!

 一方でこういった企画ありきで使用されるクリエイターの方もいますが、大半は自宅に撮影スペースがない方やプライバシーの心配がある方などが多いですかね。そういった方に向けては動画撮影ができる専用のスペースなども整えています。たとえば動画撮影のスペースとスチール撮影ができるスペースが半々になった特殊な部屋など、そもそもの目的をお部屋に定着させているものもあるんです。

リノスぺstudio西新宿

ーー動画クリエイターの方々の撮影、編集、配信など様々な用途に対応できるよう、場所を支援しているのですね。

井上:そうですね。ゲーム配信に関してもワークボックスのなかにゲーミングチェアや機材などを整えて、その場所にいくだけで配信ができるような施設も提供しています。

 また、コロナ禍ではテレビ局からの問い合わせも増えました。スタジオに入る人数を制限している番組も多いので、リモートで参加する方の場所の確保だったり、あるいはロケの食リポでもその場では食べずに購入だけして、食べる場所として使ったりなど、そういったもうひとつの場所として活用されています。

 こういったテレビ局からの流れもあって、いまは芸能人の方もYouTubeチャンネルを持って動画を撮られているので、そういった撮影に利用されたりもしましたね。

ーー人と人が距離を取らなければならない用途として利用されていたところから、今度は場所起点で企画が作られて新しいものが生み出されるというのがここ数年でのエンタメの変化を象徴しているように思います。場所を提供しながら支援も行っているスペースマーケットが考える「ひとり空間」の今後について教えてください。

井上:コロナ禍以前からですが、多様性を求める社会の中で、集団行動と個人行動っていうのがだんだんと分かれてきて、個人でできることの幅がすごく広がっているように感じています。その活動のなかで我々が提供している空間を使ってもらえれば嬉しいですね。

 また、場所を提供するだけでなく、こちら側から「ひとり空間」に対する利用のアテンドもしていきたいという思いもあります。というのも、まだまだワークボックスのようなひとりで何かをする空間に対して、何をする場所なのかイメージがわかない方も多くいらっしゃると思うんです。そういう方に対し、この空間ではゲーム配信ができます、化粧直しができます、試着に使えますなど、提案することで利用する方も増え、また「ひとりの空間で何をするか」という幅ももっと広がっていくはずです。個人個人の使い方を知る人が増えていき、「ひとり空間」に対する選択も広がっていけばと思っています。

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