あの人のゲームヒストリー 第二十一回:reche
アーティスト・recheを形成する“ゲームとの日々” 大切なことはすべてRPGが教えてくれた
マイベストゲームは、あの人気作。最近はお母さんといっしょにプレイすることも。
――ご家族やお友達といっしょにゲームで遊ぶことはありますか?
reche:ありますね。最近はよく母と遊んでいます。介護疲れからの気分転換の目的で『ファイナルファンタジーXIV』をすすめたら、すっかりハマってしまったみたいで。お休みの日には、くだらないやりとりをしながら、いっしょにダンジョンに潜ったり、素材を集めたりしています。これまで親と共通の話題があることなんてなかったので、とても新鮮な気持ちで楽しんでます。
――recheさんが子どものころは、お母さんもゲームをしていらっしゃったんですよね?
reche:そうですね。当時は母も若かったので、しっかりプレイしていました。でもそれから時間が経って、少しずつゲームから離れてしまっていたんですよね。そのあいだに、最初はゲームに興味のなかった私がどっぷり浸かってオタクになり、そんな私が紹介した『FF14』で2人が交わる。不思議なこともあるものですよね。
――「気分転換のため」という経緯まで含めて、まさに“光のお母さん”ですね(笑)。
reche:ほんとそうです(笑)。『FF14』に感謝ですね。
――ここまで『テイルズ』シリーズや、『NieR』シリーズ、『FF14』とお気に入りの作品についてうかがってきましたが、recheさんにとってのマイベストゲームはどのタイトルになるんでしょうか?
reche:やっぱり『FF14』ですね。いままではどの作品にもそれぞれに好きな部分があったので、1番をあまり決めずにきたんですが、ゲーム以外のエピソードのところで、私にとってかけがえのない作品になりました。
もともと私も、自分がつらかった時期に友達から紹介されて『FF14』をプレイしたんです。シナリオや音楽といった本来のゲーム性はもちろんなんですが、そこで生まれた人との交流だったり、体験だったりが本当にたくさんのことを与えてくれた気がしています。
――recheさん自身が救われた経験もあったからこそ、お母さんが辛い時期に『FF14』をすすめた?
reche:はい、処方箋みたいな感覚でした。効くかもしれない、効いたらいいな、と。ゲームにかぎらず、人ってなにかに集中していると、嫌なことを考えなくても済むじゃないですか?思ったとおり、バッチリ効きました。“『FF14』セラピー”です(笑)
――お母さんだけでなく、自らも救われた経験があるとなれば、マイベストゲームになるのも納得です。
reche:『FF14』に出会うまでも、MMORPGは遊んだことがあったんです。だけど、ここまで温かい作品はありませんでした。開発チームとファンがひとつのコミュニティのようになっているじゃないですか。優しさでできている世界だな、と。私にとっては「第二の帰る場所」みたいな感じですね。
「今後はゲーム配信にも挑戦してみたい」アーティスト・recheがゲームから学んだこと
――ゲーム関連で今後挑戦してみたいことはありますか?
reche:思い入れのあるシリーズにアーティストとして携わってみたいですね。主題歌や挿入歌って、ゲームから受け取る感動の一部に組み込まれたものじゃないですか。プレイした人の当時の気持ちや記憶と結びつく特別な役割があると思うんです。その役割を思い入れのあるシリーズで担えたら、どんなに嬉しいかなって。ゲームの世界に救われてきた人間として、ひとつの目標ですね。
――プレッシャーはありませんか?
reche:もちろんあります! でもそれ以上に、やりがいを感じますね。
実は少し前のライブで『NieR:Automata』の「Weight of the World」という曲をカバーさせてもらったんです。やっぱりそのときも、自分がプレイしていたときの感情が溢れてきて。原作への思い入れがあると、時に余計な解釈を歌に込めてしまいそうになることもあるんですが、それを鎮めながらパフォーマンスし切ったときは、言葉で言い表せない気持ちになりました。もしあれが自分の曲だったらと考えると、死んでもいいくらいですね。
――ご自身が触れてきたゲーム音楽の世界を表現できる場所があるのは、アーティストならではですね。
reche:あとは、ゲーム配信にも挑戦してみたいです。需要があるのなら(笑)。私、RPGなんかでもすごくせっかちにプレイしてしまうんで、ちょっと気恥ずかしさもあるんですが、もしそんな私でも楽しく観てくださる方がいるなら、ぜひチャレンジしてみたいなって。
――間違いなく需要ありますよ! これまでミステリアスな形で音楽活動をされてきたので、なおさらファンの方も素のrecheさんを観てみたいはずです。
reche:驚かれちゃうかもしれませんね。シンガーとしてはシンボリックな存在だったのに、ゲーム配信を観てみたら現実的で効率重視のプレイをしてるって(笑)。でも自分の好きなことで活動の幅やファンの方たちとの関わりが広がっていくのは、とてもうれしいです。前向きに検討してみます。
――最後に、ゲームを続けてきてよかったと思えたことがあれば教えてください。
reche:ひとつは、ゲームからいろいろなものを受け取ることで、豊かな情緒を育めること。もうひとつは、ゲームとの関わりを通じて、制作サイドに必要な心構え・スタンスを学べることですね。どちらも私がアーティスト活動を続けていく上で、なくてはならないものです。
たとえば『FF14』だったら、吉田直樹さん率いる開発チームに、プレイヤーのみなさんが絶大な信頼を置いているじゃないですか。活動をファンの方たちが何の疑いもなく信頼してくれて、作品を発表すれば、惜しみない愛を届けてくれる。これってゲーム制作でも、音楽制作でも、きっと変わらないモノづくりの理想形だと思うんです。なぜ『FF14』にはそんなことができるのか。根本にあるのは、開発チームのみなさんが自分たちのつくるゲームを大好きだということなんですよね。だから私も自分の作品をずっと愛し続けていかなくてはならないですし、良い作品ができたときには胸を張って「聴いてほしい」とファンに伝えたい。それをファンやスタッフの方たちと一緒になって喜べるような信頼関係が築けたら、それ以上のことはありません。このことを学べたことが、ゲームを続けてきて最も良かったことだと思います。私も音楽を生み出し、人に届けていく立場として、そんな気持ちを忘れずに歩いていきたいですね。
■リリース情報
reche 1st digital single『imagination』配信中
https://nex-tone.link/A00094107
cover track:1st digital single『桜流し (ft.marasy)』配信中
https://nex-tone.link/A00098167
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