特集「Web3によって変化するエンターテインメント」(Vol.2)

VTuber黎明期のキーパーソン・ミソシタが“メタバース”に注力する理由 「ひとりでも勝てるチャンスがあるというのが面白い」

NFTやクリプトアートにはひとりでも勝てるチャンスがある

ーーまた、時代とともにVTuberというものの指し示す概念が変わってきています。このような状況はプレイヤー側のミソシタさんも感じていますか。

ミソシタ:今はあまりVTuberとしての活動に軸足を置いていないんですが、そもそも“Tuber”と付いてしまっていて、どうしてもWeb2を拭えないというか。そんな気がするんですよね(笑)。そういったものはぼかして、代わりに“Metaverser”という名前をつけているんです。また、クリエイター的な側面を推していくスタンスなので、自分のアバターよりも自分の作ったものを出していった方がいいと思っていますね。

ミソシタは”Metaani”プロジェクトにてキズナアイとも共演経験がある

ーーKizuna AIさんが活動休止を発表したりと、初期のバーチャル業界について、いま改めて振り返る局面に差し掛かっていると感じています。そんななか、ミソシタさんは冒頭で話されたブルーオーシャンに飛び込んでいくというのを地で行くように、VTuberや“Metaverser”としての活動も、王道とは異なった表現の仕方で突き進んでいるのが面白いと思いました。

ミソシタ:2018年にVTuberが広がったときも、2021年にNFTが話題になった際も、自分にとってはバブルみたいに盛り上がっているように見えました。そういうところへ踏み込んでいくのが好きなんです。テクノロジーを使ったエンターテインメントで、人よりも早く何かやりたいという思いがあります。逆にある程度ビジネスが固まっていて、勝ちパターンも決まっているなかで、なにかやるというのは不得意ですね。

 また、いまのタイミングでVTuberを個人の活動としてやっても、なかなかバズりにくい。他方、NFTアートやクリプトアートはまだまだ個人で勝てるというか、バズるきっかけを作ることができれば、あっという間に話題になります。ひとりでも勝てるチャンスがあるというのが面白いですし、何か新しいことに飛び込んでいくのが自分の活動のスタイルだと思っています。ただどんなことであれ、くだらなさを追求したりオルタナティブな表現をしたりと、やっていることの本質はあまり変わらないんですよ。

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