連載「十束おとはの『テック・ファウンダー』」第2回:『ELDEN RING』

フロム社が積み上げてきたソウルシリーズの集大成に感激 十束おとはの『エルデンリング』評

 先述の通り、主人公は何度でも死から蘇ります。 

 つまり何度も"死ぬまで戦う"ことを繰り返す中で、ボスの行動パターンを覚えることが可能となっています。 

(「こいつ、飛びかかり攻撃の後と、剣を2回振るった後の溜め攻撃の後に隙が出るな……」といった感じです)

 数えきれないほど殺されながら、行動パターンを記憶し、試行錯誤する。 強烈な攻撃をさばき、的確に隙を突き、HPを徐々に削っていく。 

 するとボスも焦りや本気から、行動パターンを変えてくる。 

 さらに数えきれないほど殺されながら、行動パターンを記憶し試行錯誤する。以上を繰り返した果てに得る勝利の味は、ほかのタイトルでは中々味わうことができません。 

 また、レベルアップ時に好きなステータスを選択して強化できるシステムとなっており、ここもソウルシリーズと変わりありません。

 

 そのため、キャラクター育成の幅が広く、自分の理想とする主人公を存分に追い求めることが可能となっています。 

 脳みそまで筋肉を詰め込んで大斧を振り回すもよし。 

 筋肉の代わりに知力を詰め込んで、数多の魔法を操るもよし。 

 信仰を高めて、大いなるものの力を借りるもよし。 

 武器も王道な剣・槍・弓だけでなく、中二病をそそる鎌・爪・刀、野性味溢れる槌や拳まで、武器ごとに必殺技とでもいうべき固有アクション「戦技」が設定されているのですが、これも「戦灰」というアイテムを使用することでカスタマイズが可能となっています。 

 正直、組み合わせが多すぎて混乱してしまうレベルですが、ひたすらに自分の好きを追い求めてほしいというフロム・ソフトウェアからの心意気を感じます。 

 ゲーム攻略におけるオンライン要素としては、ソロプレイであればフィールド上に自由に残せる「メッセージ」や、ほかプレイヤーの死の直前の行動を観察できる「血痕」なども。

 マルチプレイであれば、ほかプレイヤーの世界を訪問し攻略を手助けする「協力」プレイ、逆に他プレイヤーを殺すことで攻略の邪魔をする「侵入」プレイが存在します。 初めての方は基本的にソロプレイが安心ですが、それでもどこかの誰かが残したメッセージに感動したり、だまされたり。 

 おびただしい血痕の残る道に戦慄したり、あっけない死にざまにくすっと笑ったり。 ゆるく他人と繋がれる、令和なオンラインを楽しむことができます。 

 ストーリーについては作中ではあまり多くは語られないため、プレイヤー側に考察の余地が残されている点も相変わらずです。 

 作中世界に深みをもたらしている要素であり、私はこの作りがとっても好きだったりします。

 たとえば、このゲームにおける敵は、基本的には何の説明もなくいきなり現れて、有無を言わさず襲い掛かってきます。 

 そして倒すと一定の確率で装備品やアイテムをドロップするのですが、その説明文を読んで初めてその敵が何者だったのかの断片を知ることができます。これがまた切ない物語が多かったりして、ぐっと来るんですよね……。 

 過去作のオマージュや戦闘における新要素等、語り切れていない要素もまだまだあるのですが、終わりが見えないのでいったん筆を置くこととします。

 私個人から見た本作は、フロム社が過去積み上げてきた知見やノウハウを最大限に活かしつつ、近年の流行や新要素を大胆に取り入れたソウルシリーズの集大成であると感じました。 

 様々な面でユーザビリティが向上されていることから、間口を広げてより多くの人に遊んでほしい、というフロム社の気持ちが込められていると推察します。 特にオープンワールドとなったことで、"特定のボスを倒せずストーリー進行が止まってしまう"というハードコアな状況が発生しづらくなったのは大きな一歩です。

 長く続くコロナ禍により、いままで以上にゲームが身近な存在になった方も多いかと思います。 

 本作を機に、目くるめくフロム世界での冒険に飛び込んでみてはいかがでしょうか?

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