「20分に1ドット描けるお絵かき掲示板」で起きた熱狂 まっさらなキャンバスを600万人が奪い合う
3月28日からの4日間、海外掲示板「Reddit」のコミュニティ「r/place」でドローイングイベントが行われた。そのイベントとはr/place内のオンラインキャンバスに絵を描ける、というシンプルなもの。ユーザーはキャンバスを1ドットづつ編集できるが、「10分から20分に1度だけ」という制限が設けられていた。
このイベントはもともと2017年のエイプリルフールに行われた企画を復活させたものだ。発案したのは単語当てゲーム「Wordle」の開発者でもあるJosh Wardle氏で、氏いわく初期段階では「トイレの落書きのようだった」とのことだ。
しかし、冒とく的な言葉や、卑猥な単語などが無秩序に並ぶ混沌とした空間は、すぐに変貌を遂げることになる。ゴッホの『星降る夜』を制作したり、とにかく黒に塗りつぶすことを目的としたりと、テーマを掲げたコミュニティが乱立し、まっさらなキャンバスを奪い合う”ピクセルアート大戦争”へと変わっていったのだ。
2017年の開催時は参加者数が100万人を超え話題となったが、今回の開催では600万人を超え、更に大きな盛り上がりを見せている。5年ぶりに復活したr/placeではインターネット上の様々なミーム、カルチャーが入り乱れ、各コミュニティの人々は”領土”を広げようと争うように絵を描いていく。
ユーザーの手によってタイムラプス映像が残ることを予想し、『マインクラフト』のワールドを生成した時のグラフィックとプレイヤーが死んだ時のゲームオーバー画面を再現するようなものもあり、非常にバリエーションに富んでいる。『Among Us』に登場するキャラクターをいたるところにこっそりと忍ばせる動きや、描かれた絵に赤と青の2色を使って3Dメガネをかけさせるような、「既に描かれた絵に俺たちの痕跡を残すぞ」というようなコミュニティもある。
このイベントの面白い点は冒頭にも述べた通り、ドットを描く際に一定の制限があることだ。20分に1度、1ドットしか描けないため、大きな作品を作るにはユーザー同士の協力が必要で、キャンバスの”領土”の広さはコミュニティの大きさに直結しているといえるのだ。時には『NieR:Automata』が『キングダムハーツ』のコミュニティと連絡を取りあい連携したこともあったようだ。
イベントに終了期限が設けられている点も、”領土争い”を激化させる要因となっている。「最後に俺たちの絵を残すぞ」という思いから各コミュニティは熱狂し、さながらお祭りの様相を呈しているのだ。
更に、一言にコミュニティといっても、それはReddit内に留まらない。期間中、Twitchの「雑談」カテゴリは「r/Place」に関する配信で埋め尽くされ、人気の配信者たちも自身のアイコンを視聴者と共に描き、侵略してくる他コミュニティから日夜交代で絵を守っていた。
このキャンバス上で行われているタイムラプス映像を眺めるのはとても面白い。隅の方にある小さな”領土”を奪い合う小規模な争いから、巨大な国旗を巡って行われる大規模な争いまで、あらゆる場所でドットが現れては消えを繰り返しているのだ。
ありとあらゆるインターネットのコミュニティが集結し、カルチャーの隆盛を眺められる「r/Place」。興味のある方は是非動画を観てみてはいかがだろうか。
〈Source〉
https://kotaku.com/rplace-reddit-april-fools-elden-ring-hollow-knight-word-1848747948