配信者に特殊部隊をけしかける"スワッティング"　過去にはApexのプロプレイヤーも被害に

　2月中旬、デジタルTCG『Hearthstone』の配信者であるAlliestraszaが”スワッティング（Swattintg）”の被害に遭った。

　”スワッティング”とは、警察に虚偽の通報を行い、被害者の自宅に米国の特殊部隊「SWAT」を送り込む悪質な嫌がらせ行為だ。米国を中心に多くの配信者が度々被害に遭っており、問題視されている。

　Alliestraszaが行っていたのはただ雑談をするだけの配信だ。彼女は旅行から帰宅したばかりで、1週間ぶりに配信を行っていた。しばらくすると家の中が騒がしくなり、何事かと部屋を出ていく彼女。配信のチャット欄がざわつく中、配信には武装した警察官が映り込み始めたのだ。やがて、警察官は彼女が配信を行っていた部屋に入り、銃を構えてドアの裏などを確認する。Alliestraszaが部屋に戻るまで、配信は25分にわたって続いた。

　配信を止める直前、彼女は「配信を中断するね。今家に警察が来ていて……。これから取り調べを受けるわ。マジで”スワッティング”されたみたい。私は大丈夫、無事よ。手錠はかけられたけど……うん。でも大丈夫、みんな良い人だし、何の問題も無いわ。また後でね」と視聴者に説明をしていた。

　その後、AlliestraszaはSNSで今回の事件について「まさか自分が”スワッティング”されるとは思わなかったわ……。でも大丈夫、私は無事。少し怖かったけれどね」と詳細を語った。警察官については「彼らは丁寧に対応してくれたわ。とはいえ、彼らも真剣に対処しないといけないから、私と家族の全員が外で手錠をかけられたけどね……」と話している。

　虚偽の通報ということが分かり事態が落ち着いた後、Alliestraszaは警察に「Twitch配信者は度々こういう被害に遭っている」と伝えたそうだ。警察官に通報内容の詳細を質問すると、「女性が夫を銃で撃ち、バスルームに立てこもっている。入ってきたら撃つと脅してもいると通報があった」と説明されたという。

　こうした”スワッティング”被害は過去にも多くの配信者が経験しており、プロeSportsチームTSMFTX所属のApexプロImperialHal氏も昨年被害に遭っている。チームメイトとの配信中に警察官が家に来たのだ。「ドアを開けろ！手を上げてこちらに来い！」と声が聞こえてくる動画がYouTubeに残っている。

　その際は警察官が「虚偽の通報である可能性が高く、彼はゲーム配信者で”スワッティング”をされたのだろう」と状況を把握していたことで何事も無かったが、それでも9名程の武装した警察官がドアを蹴破ってきたとのことだ。

　警察もこの問題は把握しており、ImperialHalには「VPNを使った方が良いかもね」と警察官がアドバイスをしてたり、米カンザス州では「スワッティング防止法案」が可決され、最低10年の刑期が設定されたりしている。シアトルでは標的にされる可能性の高い人物が登録されており、被害を未然に減らす対策も行われている。

　今回被害を受けたAlliestraszaが住むカリフォルニアでは、虚偽通報をした犯人が捕まった場合、その対応にかかる費用を全額負担する決まりになっている。彼女は「色んな人の労力が無駄に浪費されていて、正気の沙汰とは思えない。なんでこんなことをする人がいるの？しかも誰がやったかわからないとか最悪でしかないわね」と語り、怒りを露わにしている。

〈Source〉
https://www.pcgamer.com/hearthstone-streamer-alliestrasza-and-family-cuffed-during-mid-broadcast-swatting/
https://twitter.com/Dexerto/status/1492185412260884481?s=20&t=hKIfUMtEcAJw2vF9s6lSAw