Netflix、バラエティ作品への注力を発表 制作者が語る「ラブ・イズ・ブラインド」の“誕生秘話”とは

制作者が語った「ラブ・イズ・ブラインド」の“誕生秘話”

 続いて行われたトークセッションでは、「ラブ・イズ・ブラインド」の制作に携わった日米2か国の担当者らが、同作品の企画背景や人気を博す理由について掘り下げた。

 アメリカ版「ラブ・イズ・ブラインド」の制作に携わったNetflixコンテンツ部門ディレクターのデレク・ワン(Derek Wan)氏は「常になくてはならないコンテンツを作ることを目標にしている」とし、企画背景と番組の感想について語る。

 「最初この企画を聞いたとき、“恋は本当に盲目なのか”という、ある種哲学的なものを感じた。恋愛の普遍的な命題である『真実の愛さえあれば、外見は重視されないのか』というのを検証するため、新感覚な恋愛リアリティショーとして仕立てたことで、多くの反響を得ることができたと思っている。また、アメリカ版の『ラブ・イズ・ブラインド』は参加者が情熱的で感情を露わにしたり、視聴者も前のめりになって観たりするのに対し、日本版はどこかゆったりとした気持ちで観られ、ロマンチックな印象を受けた。それは出演したキャストが大人というか、和むような雰囲気を出していたからで、姿や顔を一度も見なくとも、心を開き、実際に結ばれたカップルが誕生したことに、たくさんの視聴者が共感を抱いたと感じている」

 「ラブ・イズ・ブラインド JAPAN」のエグゼクティブ・プロデューサーとして、クリエイティブ統括を務めたNetflix コンテンツ部門プロデューサーの後藤太郎氏は「2年前の1月に初めて『ラブ・イズ・ブラインド』を観たときに感じた、奇想天外な企画性に驚いた」と作品で感じた衝撃を物語る。

 「最初は本当に男女の顔や姿を一度も見ずに、恋が育まれるのかと半信半疑で観ていたが、ブラインドだからこそ、ストーリーが進むにつれてお互い向き合っていくような感じが、よりリアリティを感じた。そのため、知らぬ間にストーリーへ惹きこまれていったのを覚えている。こうした原体験もさることながら、結婚に対する価値観や考え方も多種多様になりつつある日本だからこそ、結婚に本気で向き合っていく作品ができれば面白いのではと思い、日本版の『ラブ・イズ・ブラインド』を企画しようとデレクに打診した」

 当時、制作会社のプロデューサーとして関わっていた小林は「200ページにも及ぶ番組マニュアル『ショーバイブル』を受け取り、正直驚いていた。非常にきめ細かな演出などが記載されていた一方、『このマニュアル通りにしなくていい』と言われていたことが印象的だった。基本となるフォーマットは大事にしつつ、日本の文化や特性に合うような形の番組になるよう心がけた」と話す。

 「作品制作に関しては各国のクリエイティブチームに裁量が任されているので、その国の特性や文化を反映させられるのがNetflixの特徴になっている。適時、各国とのミーティングを重ね、ローカルならではの特色や作品の魅力引き出せるよう意識している」

 デレク氏は「『ラブ・イズ・ブラインド』以外の作品も今後展開していきたい」と意気込みを語った。

 「作品制作に関しては、各国のクリエイティブチームに裁量を任せていて、その国の特性や文化を反映させられるよう、定期的に各国とミーティングを重ねている。こうしたなかで、クリエイターとして視聴者が共感できる素晴らしいストーリーだと確信するフォーマットがあれば、積極的に作品を制作していく予定。時代背景を踏襲し、かつ普遍性がある作品をこれからも世の中へ届けていければと思う」

 笑いの渦に巻き込むコメディ、胸が熱くなる純愛、世の中を多角的な視点から切り取るドキュメンタリー。Netflixが力を注ぐ、渾身のバラエティ作品の展開にこれからも注目したい。

(画像=Netflixより)

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