芸術を愛し、笑いの神に愛される。にじさんじ・鷹宮リオンの抜きんでた行動力とアイディア

 多人数が参加する配信でも笑いを届けることのできる彼女だが、雑談配信ではその時々の体調やテンションでムードがハッキリと変わっていく。

 線は細くもしっかりとした芯のある声色の彼女。元気よくハキハキとトークしつづけ、声を上げて笑ったりすることもあれば、打って変わってとてもしっとりと穏やかなトーンで会話し、どこか淑やかなムードで進んでいくこともある。

 朝早めに起きたタイミングで行われる恒例の雑談配信を見れば、寝起きの状態から徐々に元気になっていく彼女の姿がありありと伝わってくるし、深夜帯で配信されるYouTubeやTwicastingでの雑談配信は、よりまったりとアンニュイな雰囲気になる。

【雑談/talk】朝活成功の世界線、ダウナーな鷹宮とチルい曲(Chill MIX)【にじさんじ/鷹宮リオン】

 「なんかさぁ……」と切り出して会話にあがるエピソードはバンチの効いた内容が多く、口調・トーン・気持ちのありようで配信のムードやテンポがガラリと変わっていく辺り、彼女が心の在りようをあまり偽ることなく届けているのが伝わってくる。

 旺盛な好奇心で面白そうなものへとチャレンジする行動力も彼女の特徴だ。アウトドア志向なこともあり、映画館やアミューズメントパークへ出かけることも多く、にじさんじの同僚らと一緒に足を運ぶこともしばしば。

 また、美術館巡りを趣味にしていたり、音楽への造詣深い面を見せたりと、文化的な一面があるのも彼女の特筆すべき部分だろう。知識としてはあまり覚えていないこともあるが、好きな画家の展覧会があればしっかりチェックしている。

 これに加えて、好きな音楽にあげているのがクラシック音楽。オーケストラの公演会もしばしば鑑賞することがあり、ラフマニノフ、ボロディンを好きな作曲家にあげている。帯になかなか寝付けない人の為に行なう「眠れない人の為の深夜のクラシック」を以前は定期的に配信していたことがあり、その後の雑談配信でも折を見てクラシックの定期演奏会について語ったり音源を流してみたりと、彼女にとって身近な音楽だといえよう。

 こういったきっかけもあってか、配信の節々に音楽への強い好奇心が滲み出ていることに気づく。アニメ好きということでアニソンの知識を備えているだけでなく、雑談配信中のBGMにはほか配信者の配信でも聴けるようなフリー音源ではなく、自分の呼吸音も聴こえてしまうほどに穏やかなピアノ曲やチル・ヒップホップ系のトラックを流すことが多く、先述した穏やかでまったりとした彼女らしいムード作りに貢献している。

 そういった音楽から一転して、EDMへの愛も強い彼女。Twitterで募集したリスナー自作曲やフリー音源を駆使、初心者ながらもDJプレイし、「DJ TAKAMiY」として新たな衣装も装い、2020年9月22日に開催された『SMASH The PAINT!!』のリリースDJパーティーでDJを披露するなど、EDMを中心にしたダンスミュージック好きな一面もあるのだ。

 いち音楽ファンからすれば水と油のようにも思えるクラシックとEDMであるが、一度の配信でどちらも楽しんでしまおう!と試みるなど、その熱の高さがうかがい知れる。

【EDM】DJ TAKAMiY【Music】

 

【Classic×EDM】クラシックかEDM フェス会場【にじさんじ/鷹宮リオン】

 2021年2月28日の『にじさんじ Anniversary Festival 2021』閉会式にて、葉加瀬冬雪とフレン・E・ルスタリオと共に▽▲TRiNITY▲▽としてメジャーデビューすることを発表。これまでの活動の中でもとっておきの報告になることも踏まえて「閉会式を同時視聴しよう」と配信をしようとしたところ、突然配信用のPCが故障してしまう。

 「メジャーデビュー」というお祝いの場面ながら、自身のパソコンが故障している悲しい状況、にじさんじの同僚や多くのリスナーがお祝いや励ましのコメントやツイートを見ているなかで、「みんなはフェスで輝いてる、それに比べて鷹宮は片手で持てるパソコンで配信してる」「パソコン壊れたことある?」と言い詰めていく流れになっていく。

 メジャーデビュー発表が告知される重要なタイミングでPCが故障してしまうという不運にみまわれ、「ライバー人生で一番ヘラってるかも……」と口にするほどの状況でも、うまく面白い配信に仕上げてやろうという彼女のエンタメ精神が発揮された名配信のひとつであろう。

【同時視聴】PCが壊れメンヘラ化 注意 #にじFes2021 感想・雑談 閉会式も一緒に見よう?!

 ▽▲TRiNITY▲▽のリーダーとしては抜きんでた行動力とアイディアを活かして2人を引っ張る彼女が、グループの方向性を決めるうえでも重要な立ち位置にいるのは言うまでもない。旺盛な好奇心をもちながら「ワクワクする」ほうへと導かれるかのように歩み、幸も不幸も天から降ってきては、うまく笑いを生み出し、チャンスを活かして彼女は道を拓いてきた。

 2022年は始まったばかり。ストリーマーとして、歌手として、彼女の身になにが起きるのか? 笑いの神によるいたずらをどう切り返していくのか? とても気になるところだ。

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