『NieR:Automata』発売5周年 アクションRPGの枠組みを超えた挑戦

NieR:Automata Game of the YoRHa Edition/ニーア オートマタ ゲーム オブ ザ ヨルハ エディション: トレーラー

アクションRPGの枠組みを飛び越えた意欲的な挑戦

 本作のジャンルはアクションRPGである。しかし、『ニーア』は単なるアクションに留まらない意欲的な演出やゲームシステムを積極的に採り入れているシリーズであり、『オートマタ』もその例から外れない。

 たとえば、通常の戦闘パートにおいては、シューティングゲームでいうところの「弾幕」のような攻撃を繰り出す敵が頻繁に出現する。これは前作『レプリカント / ゲシュタルト』から引き継がれたもので、アクションRPGでありながらシューティングゲームを遊んでいるかのような錯覚を覚えるだろう。

 さらに、『オートマタ』では実際にシューティングパートが存在する。「飛行ユニット」と呼ばれる戦闘機に搭乗して行う空中戦では、縦・横のスクロール型から全方位型まで展開。さらに、プレイキャラクターが「9S」の時には、戦闘中の敵に対してハッキングを行うことができる。これも全方位型のシューティングになっており、成功させれば敵に大ダメージを与えられるというわけだ。

 そのほかにも、文字と音だけで進行するサウンドノベルのようなパートが差し込まれたり、プレイヤーの選択肢によってプレイデータが消去される演出があったりと、他のアクションRPGシリーズには見られない仕掛けが随所に盛り込まれている。なお、本作には5種類のエンディングがあるが、Eエンドの演出はきわめて斬新で、これまでに味わったことのない不思議な感動があった。まだ体感していない人は、ぜひとも最後までプレイしてみてほしい。

 率直に言えば、あらゆる要素を詰め込み過ぎていて、ゲームそのもののテンポが悪くなっている側面もあった。ゲームとして一貫性がないと感じる方も少なくないだろう。あまりに頻繁に出現するハッキングパートは、ゲームを進めるほどに煩わしいと感じるかもしれない。にもかかわらず、『NieR:Automata』が多くのプレイヤーに支持されたのは、やはりシナリオやキャラクター、音楽、戦闘システムなどが高水準でまとめられたタイトルだったからではないだろうか。

 また、これほどの人気タイトルが、実験的な演出を盛り込んで新たなゲーム体験を産もうとしているその姿勢には称賛を送りたい。もしも『ニーア』の続編が出るとすれば、次はどんな手で驚かせてくれるのだろう、と期待しているファンも多いはずだ。

 『NieR:Automata』5周年を機に、もう一度2Bや9S、A2の軌跡を辿ってみてはいかがだろうか。

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