良作ゲームの多いジャンル“鬱ゲー”って? 『NieR Replicant ver.1.22474487139...』リリースを機に振り返る

良作の多いジャンル“鬱ゲー”って?

 4月22日、『NieR Replicant』のバージョンアップ作品『NieR Replicant ver.1.22474487139...』が発売となった。

 第2作『NieR:Automata』やスマホタイトル『NieR Re[in]carnation』の好評が記憶に新しい『NieR』シリーズ。その初作にして、2010年代初頭を代表するアクションRPGの金字塔が現代によみがえった形だ。

 本稿では、『NieR Replicant ver.1.22474487139...』のリリースを入り口に、『NieR』シリーズが分類される“鬱ゲー“ジャンルの良作たちを紹介していく。

シナリオと音楽で『NieR』というジャンルを確立した第1作が復刻

「ニーア レプリカント」最新トレーラー

 『NieR Replicant(ニーア レプリカント)』は、2010年4月22日にスクウェア・エニックスより発売されたアクションRPGだ。主人公である少年・ニーアは、不治の病「黒文病」に冒された妹・ヨナを救うため、「失われた言葉」を探す旅に出る。その道中で起こる「マモノ」と呼ばれる怪物たちとの戦いや、仲間との出会い、ヨナを巡る紆余曲折が同作には描かれている。

 新規IPだったこともあり、初週の売上本数こそ約6万本だったが、シナリオ・音楽の作り込みや、それらに支えられた独特の世界観が口コミで話題を呼び、その後しばらくは手に入りにくい状況が続いた。2018年10月末時点での累計売上本数は全世界で約70万本(※)となっている。

※姉妹作である『NieR Gestalt(ニーア ゲシュタルト)』の数字を含む

NieR Replicant ver.1.22474487139.../ニーア レプリカント ver.1.22474487139...: ティザートレーラー

 今回発売となった『NieR Replicant ver.1.22474487139...』は、オリジナル版にグラフィック面の強化・アクション性のリファイン・フルボイス化などを施した、リマスターとリメイクの中間的位置づけとなるタイトル。公式には「バージョンアップ作品」と銘打たれている。原作の発売からちょうど11年。2010年代初頭を代表するアクションRPGの金字塔が現代によみがえった。

『NieR Replicant』が分類される“鬱ゲー”ジャンル。歴史を彩る数々の良作たち

 『NieR Replicant』及び、同タイトルを初作とする『NieR』シリーズの各作品は、“鬱ゲー”というジャンルにも分類される。鬱ゲーとは、救われないエンディング(=鬱になるエンディング)を迎えるタイトルにつけられた俗称のようなものだ。『NieR Replicant』では、最愛の妹が不治の病に冒されてしまうという設定や、その後の展開、考えさせられる結末などから、クリアへと至ってもプレイヤーの心にはしこりが残る。完全なバッドエンドとはいかないまでも、決してグッドエンドとは呼べないようなインプレッションが、同タイトルには横たわっているのだ。

 実はゲームカルチャーの分野には、この鬱ゲーというジャンルに分類される良作が多くある。ここからは、比較的ポピュラーで手に取りやすい、同ジャンルの良作3本を紹介する。

『DRAG-ON DRAGOON(ドラッグ オン ドラグーン)』

『DRAG-ON DRAGOON』
『DRAG-ON DRAGOON』

 『DRAG-ON DRAGOON(ドラッグ オン ドラグーン)』は、2003年にPlayStation2で発売されたアクションRPG。のちに『NieR』シリーズを生み出すことになる制作陣が携わった、同シリーズの前身とも言える“鬱ゲー”作品だ。

 全体を通して救いのないシナリオが展開されることにくわえ、5種類あるエンディングのうちのひとつ「Eエンド(新宿エンド)」が絶望的なトラウマエンディングであると、フリークのあいだで語り草に。『NieR Replicant』には、このEエンドから千数百年後の世界を舞台にしているという裏の設定がある。

『RADIATA STORIES(ラジアータ ストーリーズ)』

『RADIATA STORIES』
『RADIATA STORIES』

 『RADIATA STORIES(ラジアータ ストーリーズ)』は、2005年にPlayStation2で発売されたRPG。『スターオーシャン』シリーズ・『ヴァルキリープロファイル』シリーズなどで知られるディベロッパー・トライエースが開発を手掛けた“鬱ゲー”作品だ。

 絵本のようにファンタジックなパッケージイラストからは、全年齢向けのような印象を受ける同タイトルだが、シナリオ後半では、“鬱ゲー”たらしめる怒涛の展開が待っている。

 作り込みの甘さなどから不名誉な賞にノミネートされてしまった背景もあるが、仲間キャラクターの豊富さや、トライエース作品らしいバトルの面白さなど、見どころのある“惜しい”作品でもあった。

『WHITE ALBUM2 幸せの向こう側』

「WHITE ALBUM2 幸せの向こう側」プロモーションムービー

 『WHITE ALBUM2 幸せの向こう側』は、2012年にPlayStation3で発売された恋愛アドベンチャーゲームだ。同タイトルには、男女3人による三角関係を主題にした恋愛模様が描かれた。

 一見するとありがちなテーマではあるが、細かな心理描写に裏付けられた完成度の高いシナリオはノベルゲーム史上でも屈指のクオリティを誇る。発売以降、純度の高い恋愛ドラマに心をえぐられるプレイヤーが続出した。2013年にはPlayStationVitaへと移植され、アニメ化も果たしている。

 ビジュアルノベルのジャンルにも、鬱ゲーの良作が数多く存在する。

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