テロが起きる可能性も? 高騰する「メタバース地所」投資による脅威とは
昨年10月、FacebookがMetaに社名を変更してメタバースの実現に注力すると宣言して以降、急速にメタバースへの関心が高まった。そうした関心は、メタバースに存在するバーチャルな土地への投資に向かった。メタバース地所の価格上昇はバブルの様相を呈する一方で、このフロンティアには新たな脅威があるようだ。
1兆ドル規模に成長する可能性
アメリカ大手メディアCNBCは1月12日、メタバース地所への投資に関する特集記事を公開した。その記事は、過熱するメタバース地所への投資事例を伝えている。
暗号通貨関連への投資を行っているカナダ・トロントにあるToken.comのCEOであるAndrew Kiguel氏は、最近メタバース地所を販売しているDecentralandに250万ドル(約2億9,000万円)の土地を購入した。同氏が言うには、Decentralandの土地はここ数ヶ月で価格が4~5倍に上昇しているとのことだ。
バーチャル不動産開発会社Republic Realmを経営するJanine Yorio氏は、人気上昇中のサンドボックス型ブロックチェーンゲームのSandboxの土地に430万ドル(約4億9,000万円)を投資した。昨年、同氏は100のバーチャルなプライベートアイランドを1つ15,000ドル(約170万円)で販売しており、これらの土地は現在では約30万ドル(約3,400万円)になっている。この価格はアメリカの平均的な住宅価格に匹敵する。
以上のようにメタバース地所への強気な投資が相次いでいるのは、メタバース市場が大きく成長すると予想されているからである。暗号資産管理会社Grayscale社が試算したところによると、同市場は近い将来1兆ドル(約110兆円)規模に成長する可能性があるのだ。
現実に結びつていないものを買っている
以上のようなメタバース地所の取引は、暗号通貨を介して取引することが多い。こうしたビジネスモデルを採用しているので、現実の土地の取引では想定されていないような要因により土地価格が大きく変動する可能性がある。
前出のYorio氏は、メタバース地所取引に潜むリスクを自覚している。メタバース地所への投資は、失うことを覚悟した資本のみを投じるべき、と同氏は語っている。暗号通貨を介するメタバース地所取引は不安定なところがある反面、大きな報酬を得られる、ともコメントした。
アリゾナ州立大学で不動産の理論と実務に関して教鞭を執っているMark Stapp教授も、メタバース地所取引の危険性を指摘している。「今のままだと、(メタバース地所取引は)バブルになる可能性が高い。メタバース地所を購入する人々は、現実に結びついていないものを買っている」と同教授は警告している。