規制強化でYouTubeはつまらなくなった? 専門家が考える動画メディアの未来
視聴回数よりも登録者数が重要視されていく?
――手軽に動画を投稿できるがゆえに、厳しくなる社会規範を見つめることなく、なんとなくで投稿する人も増えています。この手軽さがYouTubeをはじめとしたプラットフォームの規制強化を加速させているように感じます。
辻:テレビのような旧来のマスメディアとYouTubeのようなインターネット動画メディアを同一視してしまい、YouTubeへの投稿をテレビに出るのと同様に有名になるための手段としてのみとらえる人たちもいるのかもしれません。しかし、本来、YouTubeのようなインターネット動画メディアは参加・共有型のメディアで、だれでも世界に向けて情報を発信できる場です。視聴回数が多いか少ないかだけがコンテンツの価値を決めるのではなくて、誰もが自分の個性を活かしたコンテンツを投稿できる場なのです。これはテレビとは異なる、動画メディアの特性です。現在のテレビは、どの番組もできるだけ多くの人に見せようとするので、画一化する傾向が否めませんし、視聴がそれほど見込めない内容の番組は放送されにくいようになってきています。それに対して、YouTubeは視聴回数にかかわらず色々な種類の動画が存在できるメディアです。そういう場は大切にしていくべきだと考えます。
――今後、YouTubeはどのように規制と向き合うと予想されますか?
辻:YouTubeは、ガイドラインなどを随時、見直しているようです。したがって、今後も、社会情勢に応じて、ルールを更新する可能性があるといえます。
――一方、クリエイターはどのように規制と向き合うべきですか?
辻:現在の“パートナー プログラム”は、参加できるチャンネルに、登録者数と総再生時間の条件(現時点では、登録者数1000人以上、有効な投稿動画の総再生時間4000時間以上)が設けられるようになっています。また、アメリカの研究者には「YouTubeに投稿された動画については、視聴回数よりも登録者数を重視すべき」であるという人もいます。一時的な視聴回数の増加をねらって過激な動画を投稿することよりも、登録者を増やすことのほうが重要だということですね。ルールの枠内であっても、面白い動画を公開して支持を集める道があることは、多くのYouTuberたちが証明してくれています。せっかく、誰でも参加できる表現の場があるのですから、これからも多くの人たちが、ユニークなコンテンツを作って見せてくれることを期待しています。
(画像=Unsplashより)