声とテクノロジーで変革する“メディアの未来”(第七回)

Clubhouse・グローバル責任者が語る音声SNSの未来 「日本の爆発的な広がり方は想定外」

2022年はクリエイター向けのマネタイズを強化していく

ーー日本特有の音声コンテンツへの接し方や音声SNSへのニーズがあるなか、日本でのローカライズ戦略はどのように描いているのでしょうか?

アーティ:Clubhouseにとっても、日本の市場は重要な地域だと捉えています。今までにない音声SNSプラットフォームとして認識いただけるよう、2021年11月にはAndroid版の日本語対応をリリースしました。iOS版ももうじきリリースされる予定です。さらに、2022年にはクリエイターの収益化(マネタイズ)についても注力していく計画を立てています。具体的には、米国やインド、ブラジルではすでにリリースしている「Clubhouse Creator First」というクリエイター支援プログラムを日本で提供していきます。

 ルーム入場の前売りチケット「PayTicket」や投げ銭機能の「Payments」、ブランドとクリエイターを繋ぐスポンサーシップ機能「Clubmarket」、サブスクリプション課金などさまざまな形でクリエイターのマネタイズを支援していきたいと考えています。加えて、日本はリスナーとしてオーディオ体験を楽しむユーザーも多いので、今後はオーディオ側の強化も図っていきます。今年10月には、音楽を高音質で配信することができる「Musicモード機能」や、立体的で臨場感のある音声を提供する「空間オーディオ機能」をリリースしましたが、これを皮切りとしてさらにユーザーライクな機能をリリースできるよう努めていきます。

ーー音声SNSブームの立役者として市場を牽引したClubhouseは、日本国内でどのような音声サービスを目指すのでしょうか。

アーティ:日本は非常に重要視しているマーケットですので、さらなる事業拡大を目指すべく、日本のローカルチームを立ち上げる方向で準備を進めています。日本市場を見ることのできる責任者を採用し、日本のユーザーニーズを汲んだオーディオ体験やマーケティングを展開できるような体制を整えていきたいと思っています。また、「クリエイターがマネタイズできるプラットフォーム」としてもプロダクトを研ぎ澄ませていく必要性があるでしょう。実は10月にリリースした外部サイトや購入ページのリンクを固定できる「Pinned Links機能」を活用し、マネタイズに成功しているクリエイターもいます。

例えば、Obarazziさんというユーザーは自身のルームで最新の出版物に関する内容を話し、その関連リンクをルーム内に設置しているのですが、およそ550万ものクリックがなされていて、販売促進に繋げることができています。このような事例のほか、先に述べたClubhouse Creator Firstのプログラムを提供していくことで、日本のクリエイターの方々が活躍できるようなプラットフォームを構築していければと考えています。

ーーありがとうございます。それでは最後に今後の展望についてお聞かせください。

アーティ:Clubhouse自体、もっとブラッシュアップしていけるプロダクトになるので、各市場でプレゼンスを高められるよう、これからもユーザーの体験価値向上を追求していきたいですね。個人的には、まだ生まれたばかりのプロダクトにも関わらず、大きな社会的インパクトを与えられる企業で働けていることに誇りを持っています。これからも事業成長に寄与できるよう、尽力していきたいと思います。

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