にじさんじ・白雪巴が大切に育てた、一人ひとりのリスナーとの信頼関係

 そんな彼女も、「にじさんじ」らしいトガった趣味や特徴を持っている。初配信動画の概要欄には「好きな言葉は『弱肉強食』『下剋上』『女体』」と記載、配信内では百合とSMプレイが好きだということを話しており、デビュー時から現在に至るまで百合・SM好きのリスナーへ向けた配信やボイス販売、シチュエーション劇などを行っている。

 なかでもにじさんじの健屋花那との2人コラボ「Crossick」では、コラボ内容の多くに「同性愛(百合)」「性的な表現」が多くちらつき、2人のオフコラボ配信(実際に会ってコラボすること)では「キスをする」「胸を揉む」「お互いの体に噛み付く」などの、リアリティある愛情表現が数多く届けられてきた。にじさんじ内はおろかVTuberシーン全体を含めた数多くのコラボ/コンビのなかでも異質中の異質といえよう。

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 また「女性が好き」とハッキリと公言していることもあり、どんなゲームを配信していても女性キャラに注目する場面がチラホラとある。『夜、灯す』『白衣性恋愛症候群』などの女性キャラが多数登場するギャルゲー/百合ゲーをプレイしたり、今年大ブレイクしたスマートフォンゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』をプレイしたときは、時に大声をあげながらシナリオや演技を堪能していた。

 自分の性癖を押し出すという活動、それも新参者が全面に出しながらの活動にはファンからの反発もあっただろう。デビュー当時は「女性が好きだなんて性癖丸出しで活動してほしくない」という否定的なコメントも多かったと白雪は語っており、活動をどのようにすすめていくべきかを悩みつづけていたという。

 そういった中において通常の雑談枠とは別に、自身やリスナーのアブノーマルな性癖について語る雑談枠や、男女別にしたお悩み相談枠なども不定期ながら配信している。

 匿名メッセージサービスサイトのマシュマロを使ってリスナーからの声に応えるほか、生配信ではリスナーからのコメントを拾う形で配信を進めていく。リスナーから届く悩み・言葉はいずれも非常にシリアスかつ赤裸々な内容となっている。

 そういったリスナー一人ひとりの問いかけや問題に、白雪は柔らかい物腰と声色で言葉を返していく。メッセージを届けてくれたリスナーの悩みを一発で解決するような答えを返せるわけではない。

 だが、自身の人生やこれまでに学んだことを思い返しつつ、慎重に言葉を選びながら白雪は返答していく。百合やSMプレイといった嗜好は、相手の様子をつねにうかがい、しっかりとした関係性を構築していなければただの暴力的な振る舞いとなり、必要以上に相手を傷つけることになる。それを身に染みて分かっているからこそ、彼女は自身の言葉を、丁寧かつやさしくリスナーへと運ぼうとするのだ。

 柔らかい物腰と声色で届けられた言葉には、彼女の考えや想いがギュっと詰めこまれており、彼女はその受け取り方をリスナーの想像力と理解に任せる。まさにそれは「リスナーとの対話」「秘密の共有」「傷の癒し」ともいえよう秘めやかなるムードを持っており、白雪とリスナー同士の信頼関係が伺える。

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