ポケカのデジタルTCG『Pokémon Trading Card Game Live』は日本語化するのか? 3つの動向から可能性を探る
株式会社ポケモンは9月21日、『Pokémon Trading Card Game Live』を海外向けに展開すると発表した。
近年、世界中で人気が過熱している『ポケモンカードゲーム』(通称『ポケカ』)。そのデジタル版となる同タイトルの誕生には、どのような背景があったのだろうか。『ポケカ』をめぐる3つの動向から、日本語対応の可能性を模索する。
『ポケカ』の“デジタル完全版”は、現行タイトルの後継作に
『Pokémon Trading Card Game Live』(以下、『PTCGL』)は、『ポケモンカードゲーム』を題材にしたデジタルTCGだ。プレイヤーは、ゲーム内通貨の使用やデイリークエストへの参加などを通じて獲得したカードからデッキを構築し、オンライン上で世界中のトレーナーと対戦できる。対応プラットフォームは、モバイル(iOS/Android)とPC(Windows/Mac)になる予定。2021年内にカナダでローンチを迎えたのち、世界各国にて順次配信される(※)。
『ポケカ』をめぐっては、おなじくデジタルTCGの『Pokémon Trading Card Game Online』が2011年より稼働している。今回発表された『PTCGL』は、同タイトルにUIの刷新やランクマッチの実装といった改良を施した、“後継作”という位置づけだ。
なお、『Pokémon Trading Card Game Online』からのカードの移行も、一部を除いて可能とのこと。『Pokémon Trading Card Game Online』は、『PTCGL』のリリース後にサービスを終了するという。
※公式サイトには、6か国語(英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語)に対応することが記載されている。現時点で日本語版がリリースされるかは未定。
世界で過熱する『ポケカ』人気。データから見る現在地
1996年に最初の商品が発売された『ポケカ』。リリース当初は、シリーズの人気が追い風となり、多くを販売したものの、『遊戯王』や『デュエル・マスターズ』といった他のアナログTCGとの競争に勝てず、10年以上ものあいだ、「人気RPG『ポケットモンスター』のグッズのひとつ」のような立ち位置へと甘んじていた。
しかし、25年の歴史のなかでシリーズとともに成長。ルール・レギュレーションの成熟や、販売戦略の転換、ファン層の拡大・高年齢化による影響なども相まって、2010年代後半からは飛躍的に販売数を伸ばし、人気TCGの一角に数えられるまでとなった。2018年以降は同市場の好況にも牽引され、前年比数百%の売上を毎年記録。国内のTCG市場において、『ポケカ』はマーケットリーダーの地位を窺いつつある。
さらに注目すべきは海外における人気だ。世界最大規模のオンライン・マーケットプレイス『eBay(イーベイ)』が発表した2020年のTCG市場レポートによると、『ポケカ』は前年比574%も売上を伸ばし、「同年最も売上が伸びたカテゴリー」に輝いた。また、2021年1-3月期における「日本からの越境EC取引」では、前年11月に発売されたパック「シャイニースターV」が売れ筋の1位に、前々年7月に発売されたパック「リミックスバウト」が売れ筋の2位にランクインし、ワン・ツーを果たしている。全世界では、日本以上に『ポケカ』人気が過熱している実態がある。