本日『女神異聞録ペルソナ』25周年 人気シリーズの原点が”ジュブナイルRPG”として語り継がれる理由

 2021年9月20日、アトラスが誇る人気ゲーム「ペルソナ」が生誕25周年を迎えた。

ペルソナ5 ザ・ロイヤル PV#01

 同シリーズはプレイステーション用ソフトとして誕生後、『ペルソナ5』(2016年9月発売)にいたるまでナンバリングタイトルやスピンオフタイトルを展開してきた。世界市場におけるシリーズ全体の累計売上は1300万本を突破しており、日本のみならず、海外にもファンが多い国産RPGとして認知されている。昨今では「ジョーカー」(ペルソナ5の主人公)が、任天堂の対戦アクションゲーム『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』へゲスト参戦を果たしたのも記憶に新しいのではないだろうか。

 本稿では25歳の誕生日を迎えた「ペルソナ」シリーズの原点を振り返るべく、第1作目『女神異聞録ペルソナ』(以下、女神異聞録)のゲーム性、および作中で描かれたテーマに焦点を当てる。あくまで筆者の見解に過ぎないが、プレイステーション時代の「ペルソナ」を知らない・『ペルソナ3』以降のタイトルからシリーズに触れた……という方々にとって参考になれば幸いだ。

従来シリーズと毛色が異なった”新世代のメガテン”

 『女神異聞録』を振り返る前に抑えておきたいのが、本作はファミリーコンピュータ用ソフト『デジタル・デビル物語 女神転生』(1987年)、並びにスーパーファミコン用ソフト『真・女神転生』(1992年)のエッセンスを受け継いだ作品ということ。『女神異聞録』は上記タイトルに端を発する「女神転生」シリーズや「真・女神転生」シリーズの派生タイトルであり、それでいて従来シリーズとは毛色の異なるエッセンス(後述)が各所に散りばめられていた。

真・女神転生 プレイ映像

 同様にチェックしておくべきは、『女神異聞録』よりも前に発売された『真・女神転生if...』(1994年)の存在だ。こちらは「真・女神転生」シリーズの流れを汲む外伝として扱われており、「ペルソナ」システム(後述)と類似性のある「ガーディアン」システムを採用している。完全一致とまではいかないものの、”主人公の死亡時に守護霊が憑依して復活するガーディアンシステム”は、”その身に宿した力を発現させるペルソナシステム”の前身と見ることができる。つまりは「女神転生」・「真・女神転生」の両シリーズを一部で踏襲しつつも、ゲームシステムやストーリー性の根幹を大胆にアレンジした上で誕生した新シリーズ、それが『女神異聞録』である。

真・女神転生if... プレイ映像

 本作の出自に触れたところで、物語の導入を大まかにご紹介したい。プレイヤーの分身となる主人公は、瀬田区御影町(作中の舞台)に構えた私立高校「聖エルミン学園」に籍を置く男子学生。片耳に黒いピアスをつけている以外はごく普通の少年であり、神秘的な特殊能力なども秘めていない。いわゆる”良い意味で平凡”な学生だが、文化祭の準備中、ふとしたきっかけで「ペルソナ様」(占い遊び)を行ったことにより、内に秘める人格の力「ペルソナ」に目覚めた。

 主人公とクラスメイトたちは戸惑いながらも自らと向き合い、身に生じたペルソナを行使することを決意。巨大企業「セベク」が引き起こした一連の騒動を阻止するべく、困難の末に事件の首謀者「神取」を追い詰めていく……。作中のとある行動によってシナリオがガラッと変わる(セベク篇・雪の女王篇)のも本作の象徴的なポイントと言える。

Persona アトラス公式サイトより

 上記の物語に加え、新たな試みとして用いられたのがペルソナシステム。従来シリーズで見られた悪魔を戦力としてパーティーに誘う(仲魔)形式ではなく、本作では悪魔(神々)の像を伴って現れた自身の人格(ペルソナ)を、主人公を含めた各キャラクター自身が発現させる。そのため、シリーズお馴染みの交渉シーンにおいて「スペルカード」(ペルソナを生み出すアイテム)が重要視されることになり、悪魔合体を行う「邪教の館」は、スペルカードを組み合わせてペルソナを呼び出す「ベルベットルーム」へと置き換えられた。

 スペルカードを集めてペルソナを生み出し、各キャラクターに降魔させて真価を問う……。従来シリーズでは利害の一致した悪魔を傭兵のごとく使役していたが、『女神転生』におけるペルソナとは、悪魔を潜在能力の一種と言えるのではないだろうか。

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