Galaxyは国内のiPhoneに代わる存在となれるのか? オリンピックモデルやネトフリ韓ドラに起用

GalaxyはiPhoneに代わる存在となれるのか?

 サムスンはスマホ市場に広大な銀河を形成した。幅広いラインアップは、世界各地から支持されている。ユーザーが求めるスマホを開発し、カルチャーを軸にしたマーケティングで、現在の地位を手に入れたのだ。

 しかし、日本では、依然としてiPhoneのシェア率が高い。そこで今回は、サムスンの現状、そして特徴的なマーケティングを通して、「Galaxyが日本国内のiPhoneに代わる存在となれるのか」を考察していきたいと思う。

世界に広がるGalaxy

 毎年バルセロナで開催される世界最大級のモバイル展示会「MWC(Mobile World Congress)」。サムスンは、今年開催の「MWC Barcelona 2021」で行われた権威ある賞、「GLOMO Awards」で大きな存在感を見せつけた。

Galaxy S21 Ultra 5G

 スマートフォン部門では「Galaxy S21 Ultra 5G」「Galaxy 20 FE 5G」、イヤホン部門では「Galaxy Buds Pro」がノミネートされたのだ。最終的に「Galaxy S21 Ultra 5G」は、スマートフォン部門の大賞を受賞し話題になった。

Galaxy Buds Pro

 現在サムスンは、スタイラスペンの付いたNoteシリーズ、ブランドの顔となるSシリーズ、コスパ重視のAシリーズ、諸外国向けのM・Fシリーズ、折りたたみスマホのZシリーズを展開し、盤石の布陣を形成している。

 加えて、サムスンは、スマホの性能やデザインだけではなく、マーケティングにも力を入れている。

カルチャーを巻き込んだマーケティング

 サムスンは、カルチャーを巻き込んだマーケティングが得意だ。とりわけ、世界に向けての発信はK-POP同様、目を見張るものがある。ここでは、限定モデル、韓国ドラマ、YouTubeを利用したマーケティングを紹介していく。

 Galaxyは、新製品とともに限定モデルを発売するケースが多い。これまで、韓国のアイドルグループ「BTS(防弾少年団)」や「BLACKPINK」の限定モデルを発売してきた。ファンとの関係性が深い韓国のアイドルグループだからこそ、彼らを起用した限定モデルは支持を得やすい。

Galaxy S21

 東京2020オリンピックでは、出場選手全員に「Galaxy S21」の限定モデルを配布した。開催期間中にSNSを通じて、限定モデルの感想をアップする選手も多く、自然なマーケティングにつながったといえる。

 同じく自然に宣伝できる機会として有用なのは“韓国ドラマ”の存在だ。

 現在、NETFLIXで人気の「わかっていても」では、「Galaxy S21」が登場している。ほかにも、「梨泰院クラス」や「サイコだけど大丈夫」などの人気作でもGalaxyのスマホが使われた。

 世界に配信されることが当たり前となった今、作中で宣伝する手法は、高いマーケティング効果を得られる施策といえるだろう。

 最後に、“YouTube”を利用したマーケティングを紹介しよう。

 サムスンは、各国に専用のチャンネルを作成し、国ごとにコンテンツを変えている。各国の市場を徹底的に調査し、その国のニーズにあった動画を配信しているのだ。

 日本では「Galaxy Mobile Japan」という名称でチャンネルが開設されており、Galaxyを使ったハウツーやリアル店舗である「Galaxy Harajuku」からのライブ配信など、さまざまな日本向けのコンテンツを配信している。

 サムスンは、あらゆるカルチャーを巻き込むマーケティングを展開し、世界トップクラスのブランドに成長した。しかし、日本では依然としてiPhoneのシェア率が高い。

Galaxyは日本のiPhoneに代わる存在になれるのか

 日本のiPhoneシェア率は、世界的に見ても高い傾向にある。

 総務省の「情報通信白書 令和2年版」によれば、2019年の世界シェア率は、1位がサムスンの21.2%、2位がHuaweiの17.3%、3位がAppleの14.1%。これに対して、日本シェア率は、1位がAppleの59.8%、2位がSHARPの10.6%、3位がサムスンの8.8%となっている。

 サムスンが日本市場に適したスマホを開発し、カルチャーを巻き込んだマーケティングを展開しても、日本のiPhone市場を制することは難しい。

 そもそも日本では、「スマホ=iPhone」という認識がある。これには、スマホ黎明期の動きが大きく関係してくるだろう。

 当時、iPhoneを独占販売していたソフトバンクは、実質ゼロ円キャンペーンを展開した。その結果、多くの人にiPhoneが行き渡り、「スマホ= iPhone」という流れを作ったように思える。

 また、スマホ黎明期の国産Android端末は、お世辞にも良い仕上がりとはいえなかった。このとき、Androidに対して否定的な印象を持ったユーザーは多いはずだ。度重なる不具合やトラブルは、数多くのユーザーを手放した原因ともいえる。

 以上のように、日本のスマホ市場は根本から成り立ちが違う。では、日本のiPhone市場を制するカギはどこにあるのだろうか。

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